鬼滅の刃【ネタバレ】112話
刀鍛冶の里を化け物の集団が襲う。
化け物どもの異常な強さに抗う術もなく、避難を余儀なくされる村人たち。
が、そこに助けに現れたのは鬼殺隊恋柱、甘露寺蜜璃であった。
全てをなぎ倒す女性剣士。
一方、奥の屋敷では鍛冶師の長の鉄珍が巨大な化け物の魔の手にかかろうとしていた。
化け物はあまりにも強く、一巻の終わりかと思われた瞬間、恋柱が駆けつける。
化け物を瞬殺し鉄珍を急ぎ介抱する恋柱。
ところ変わって森の中。
他の屋敷で意識を取り戻した炭次郎が見たものは…
炭次郎を肩に担ぎ、3人の鬼の攻撃をかわし続ける禰豆子の姿であった。
イラつく鬼達は屋敷全てを倒壊さてしまう。
その瓦礫の下敷きになり動けなくなる禰豆子。
助け出そうする炭次郎の黒い刃を不意に両手で掴む禰豆子。
そのとたん彼の刀は激しい炎に包まれるのであった。
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1. 刀鍛冶の里の危機…恋柱登場!
「敵襲!鬼だ!」
深い森の中、刀鍛冶の里に激しい警鐘が鳴り響く。
血気術で作られた怪物どもが鉄砲水のように押し寄せて来たのだ。
化け物どもは道という道を這いずり、屋敷の屋根という屋根にまとわりついている。
警鐘を鳴らしていた鍛冶師も化け物のおぞましい口の中へと飲み込まれ、
火の見櫓も見る間に倒壊していく。
うわー! 来たー!
今までに何度となく登場してきた気持ち悪すぎる金魚もどきの雑魚キャラ!
一匹だけでもドン引きしてしまうのに
こんなに大量にうようよと…。 うぎゃー。
巨大な金魚の顔と体。無造作に生えるムキムキのヒトの手足。
それがぞろぞろと這い回っているなんて…。
駄目だ。いつ見ても気持ち悪すぎる。
ん?待てよ、こんなに登場回数が多いということは…
もしかして作者の密かなお気に入りのキャラなのでは?
と、妙な勘ぐりをしたくなってしまう。
が、この金魚もどき、妙なもので見れば見るほど「可愛いかな?」と思ってしまう自分がいることも確か。変な中毒性がある不思議な味わいを醸し出している。
鍛冶師の頸筋や背中を化け物の爪が容赦なく襲う。
その爪は刃物の如く鋭くすべてを切り裂く。
あまりの猛攻にたじろぐ里の人々。
さらにもう一人犠牲になりかけようとした時…。
疾風。閃光の如く走り寄り、空中を舞う可憐な少女の姿があった。
鬼殺隊恋柱、甘露寺蜜璃。見参!
もちろん、化け物の背中の壺は破壊されていた。
疾風は道に群がる金魚もどきを全て一掃する。
恋柱のあまりの強さと可愛さのギャップに開いた口が塞がらない鍛冶師たちであった。
来たー! こっちはいい意味で来たー!
恋柱、甘露寺蜜璃の登場である。
やはり予想通りの強さで、女性キャラ特有のそこはかとない安心感に浸れる瞬間を演出してくれているのが嬉しい。
これから彼女がどんな技や能力を披露してくれるのか楽しみだ。
蟲柱以来の久しぶりの女性剣士に期待は膨らむばかりである。
2.鉄珍の危機…恋柱斬る!
相変わらず涼しげな三日月が光る美しい星空の下。
崩れかけた屋敷にうつ伏せに倒れている刀鍛冶師が呻いていた。
彼の前には巨大な化け物が無数の足で不気味に立っている。
その金魚もどきは里を襲っているものより何倍も大きく、
背中には四個以上の壺が貼り付き、
ヨダレを垂れ流す大きな口からは鋭い牙が覗いている。
足元には鬼殺隊隊員たちの骸が転がり、両手には虫の息の鍛冶師や長の鉄珍を握っている。
なす術もないまま気力だけで何とか上半身を持ち上げる鍛冶師。
鉄珍を案じるその目には絶望が見え隠れしていた。
ザッ。 その時、目の前にか細く美しいシルエットを持った2本の脚が現れる。
それは、重傷の鍛冶師を守るため戦闘態勢に入った険しい表情の恋柱だった。
鍛冶師は彼女が手にしている刀に目を見張り、驚きを覚える。
その刀身はまるで蛇のようにクネクネとうねっているのだ。
突然、暴走機関車と化した化け物が突っ込んでくる。
迎え撃つ恋柱。
恋の呼吸、壱ノ型。
すれ違いざまに勝負はついていた。
波うつ大気。踊る刀身。
無数の太刀筋が身体に走り、
金魚もどきはボロボロと崩れ散る。
いつもときめいていて、惚れっぽい女の子、甘露寺蜜璃。
彼女の技が初披露される。
それにしても特筆すべきは特殊な形状の彼女の刀であろう。
これが刀?と即座に突っ込みたくなる異様さがある。
今までに見た事がないフォルムと躍動感の融合。
この蛇がのたうつかの如きうねる刀身を括目せよ!
全てに於いていい意味で予想外の天然少女。
コスチュームのポップさといい、刀のインパクトといい、
彼女の性格との落差が激しすぎて…
これからもグルグル振り回されそうで、気持ちのワクワクが止まらない。
怪物が消えるのと同時に握っていた指から落下する鉄珍。
その落下地点に素早く身を躍らせる女性剣士。
彼女がクッションの役割を果たし、見事に抱き止める。
と、彼の体はブルブル震えている。
「大丈夫ですか。」
泣きながら彼女が叫ぶ。
ブルブルブル。
「可愛い娘さんに抱きしめられて、幸せ。」と恍惚の表情の鉄珍。
瀕死の鉄珍から予想もしない言葉が飛び出し、思わず赤面する女性剣士。
「私も手を握ってくだされ。」
ここぞとばかり他の鍛冶師もうやうやしく手を差し出してくるのであった。
横で事の次第をすべて見届けていたうつ伏せの鍛冶師は、
安堵すると同時に張り詰めた緊張の糸が切れたのか、
ガクリとこうべを垂れ、気を失うのであった。
解る! よーく分かる! 鉄珍さんの気持ち!
男子なら何を於いてもキレイで若い女性に抱きしめられたら最高に嬉しいだろう。
この状況は男にとって本望だ!
それはまさに天国へ上る至福のひととき。
いくら痛い目に遭っていようとも、
いくら齢を取っていようとも、
いくら瀕死であろうとも同じ事である。
鉄珍さんに、男性の読者諸君からの熱い羨望と嫉妬の眼差しが送られること必至。
「鬼滅の刃」で久し振りにクスッと笑える微笑ましいシーンとなった気がする。
まあ、たまには肩の力を抜いてリラックスしないとネ!
よし、ひと息いれてこの先の展開に備えるべし。
3. 炭次郎、禰豆子の危機…また危機!
真っ黒な闇の中…。ぼんやりと光が浮かぶ。
この感覚、この匂いは何だ?
「逃げるなぁ!」
思考は激しい怒鳴り声に中断される。
カッと目を見開く炭次郎。
その刹那、全てを砕くかの如き落雷が轟き光る。
そして彼は全てを理解した。
禰豆子が先に意識を取り戻し、炭次郎を肩に担いでいること。
鬼の雷を左右に避けながら禰豆子がひとり奮闘していることを。
バリバリッ。
電撃を受けて、その場に倒れこむ2人
すかさず空喜が上空から強襲する。
辛くも横へと逃げた彼等はそのまま壊れた襖の奥へと駆け込む。
「この建物を吹き飛ばせ!」積怒が叫ぶ。
可楽がそれに団扇で呼応する。
大型台風の直撃。
材木の絶え間ない悲鳴。
竜巻の怒りの爆発。
砕け、弾け飛ぶ屋敷の壁。 すべてが倒壊する。
瓦礫の数々が2人に降り注ぐ。
辛うじて破片を避け、鬼への効果的な攻撃を模索する炭次郎。
そして二人の姿は瓦礫の山の中へと消えていた。
炭次郎と禰豆子の共同攻撃も
さすがに3人の上弦の鬼との闘いでは苦戦を強いられる。
「3本の矢」や、「3人寄れば文殊の知恵」など
昔から「3」にまつわる教えやことわざは多々あるのだが、
どれも3つが合わさって強くなる事を表していて納得である。
ましてや相手は鬼である。
どこにどう転んでも危機しかありえないのである。
上も危機、
下も危機、
右も危機、
左も危機。
本当に勝つことが出来るのか?
読者は益々疑心暗鬼に縛られて身動きが取れなくなる。
しびれる展開がのたうち、うねり、全てを飲み込みながら加速しいて行く。
4.瓦礫の中の危機…燃える刃!
瓦礫の影には攻撃の方法を模索し続ける炭次郎の姿があった。
瓦礫の山に下敷きとなり身動きが取れない禰豆子とともに…。
見ると下半身がすべて埋まっている
急いで助け出そうと躍起になる炭次郎
その時…ギュ。
炭次郎の刀を禰豆子がいきなり握りこむ。
向かい側の瓦礫の正面には積怒、可楽、空喜の3人が余裕の表情を浮かべ、
ゆっくり探し出そうと手ぐすね引いて待っている。
禰豆子を必死に救い出そうとするが、瓦礫はびくとも動こうとしない。
瓦礫の中の絶体絶命の危機。
「見捨てたりしないから、刀から手を離すんだ。」
ところが逆に禰豆子は刃を握った手に力をこめる。
両手から滴り落ちる鮮血。
当惑し、やめろと叫ぶ炭次郎。
が、さらに力いっぱい刃を手に食い込ます少女。
突如、彼女の両手と刀身が激しい炎に包まれる!
「赤くなる!」
刃は闇の黒から炎の赤へと色彩を変えていく。
これぞ爆血刀!
禰豆子の血と炭次郎の刀
いや、禰豆子の熱い想いと炭次郎の信念が生み出した、対鬼最強の武器!
想いを新たに、絆を核心に、
赤き刃、炎の爆血刀を構えなおす炭次郎であった。
逃げ場を失い、身動きすら取れなくなる絶対危機の状況。
作者はさらにトコトン2人を窮地に陥れる。
なぜ毎回これだけキャストを痛めつけるのか、やっぱりドエス(S)なのでは?
と今回も勘ぐってしまいたくなる。
いつも苦しい思いをする炭次郎。不憫だ。
早く幸せになってもらいたいと心から願うばかりである。
炭次郎の苦境が続く中、今回はそれを解き放つ仕掛けが最後に用意されている。
爆血刀という新しいアイテムだ。
それにより、危機の連鎖は一刀両断されるのである。
出口のない絶望から見通しの良い希望へ一気に押し出してくれる快感。
その胸がすくお手並みには恐れ入る以外にない。
鬼滅の刃113話考察
前半は恋柱、甘露寺蜜璃の可憐で激強く暴れ舞う姿が
刀鍛冶の里を襲う未曽有の危機とともにテンポよく描かれており
パニック映画でヒロインが大活躍するかの爽快感を得ることが出来る。
うって変わって後半の炭次郎と禰豆子の危機に次ぐ危機の状況。
どこまでも追いつめられるサスペンス映画の主人公と見紛うほどの危機感が
読む者にひしひしと伝わってくる。
この前半と後半の対比が鮮やかなのである。
女性剣士と少年剣士、
里の広さと屋敷の狭さ、
頼もしさと絶対的な危機。
数え上げればきりがないくらい様々な要素が対比され絡み合って
「鬼滅の刃」の世界観を作りあげていく。
いつもながらお見事という言葉しか見つからない。
もうひとつ、今週語らなければならないのは
兄妹の深い心の絆が生み出した爆血刀の登場である。
竈兄妹の力が生み出した奇跡が力強く描かれる。
今まで炭次郎の刃がなぜ黒色だったのかという謎が解かれたのだ!
それは炭次郎の黒の力が禰豆子の赤の力と結合し
炎の赤へと進化するための伏線だったのだ。
この刀が鬼を、暗闇を、不安を切り裂く力となり
次へと導くための道標となるのである。
この刀を携えた炭次郎に何も迷いはない!
何も怖いものはない!
行け! 炭次郎!
3人の鬼が待つ決戦の場へ!
君の心の刃は果てしなく強靭で絶対に折れないと信じている
私たち読者の心を乗せて行け!
そして、来週必ず目にするに違いない君の希望と信念は
読んでいるみんな
応援している人々に
生きる力と勇気を必ず送り届けてくれるのだから!