森のホテル8階の客室
ホテルの部屋のベッドで豪胆にデンジは爆睡している。デンジ君、デンジ君、そろそろ起きてと姫野先輩がデンジの頬を人差し指でつつきながら声をかけると、んあ~とデンジは声を出しながら目を覚ました。ん、8階から出られるようになったんすか?とデンジはベッドに寝転びながら姫野先輩に聞くと、残念ながらまだ無理っぽい、デンジ君が寝てる間に水と電気は使える事がわかったよ、食べ物は宿泊客が逃げる時置いていった荷物に少しだけあった、正直さ~みんなまいってきてるんだよ~、アキ君はず~っと悪魔探してる、少しは休んだらって言っても聞いてくれない、荒井君も最初こそアキ君を手伝ってたんだけど、今は状況に恐がって部屋に閉じこもってる、コベニちゃんはおかしくなってトイレの水を飲もうとしたから気絶させたと姫野先輩は説明した。それで魔人ちゃんなんだけどと姫野先輩が口ごもりながら言うと、パワーがどうしたんですか?とデンジは聞いた。二人はパワーのいる部屋へ移動する。
パワーのいる部屋
ワシは暇だからノーベル賞を考えておった!ノーベル賞を発明すれば人間はワシにひれ伏すじゃろうて!そのあとはノーベル賞を踏み台にワシは総理大臣になる!人間が苦しんでる姿がみたいからのお、手始めに消費税は100パーセントじゃ!とパワーはベッドに寝転びながら言った。いつも通りっすねとデンジが言うと、あ、ならよかったと姫野先輩は言った。3人でコベニちゃんと荒井くんを見張ろう、私1人じゃトイレも行けないからねと姫野先輩は言って指示を出した。パワーのいた部屋から出て荒井とコベニちゃんのいる部屋へ3人は向かった。
荒井とコベニちゃんのいる部屋の前の廊下
あーあ、最後のタバコ!と姫野先輩は言いながらタバコを吸う。ウヌらは落ち着いててつまらんのとパワーが言うと、今アキ君が頑張ってるから私はゆっくり休んでいーの、あとニコチンの力~、依存できるモンがあるといいよね~、何かに寄りかかって生きたい人生ですよと姫野先輩は言った。それ、アイツと同じタバコじゃんとデンジが言うと、そりゃ、アキ君にタバコの味教えたのは私だもんと姫野先輩は言った。
姫野先輩の回想
とある建物のベランダで姫野先輩はタバコを吸って、早川は飛行船が飛ぶ町を見ている。アキ君は吸わないの?と姫野先輩が早川に質問すると、骨が腐るから吸わないと早川は答えた。付き合いがあるから吸えたほうがいいよ?と姫野先輩がすすめると、誰とも馴れ合う気はないと早川は言った。なんで公安来たのか当てたげる、銃の悪魔を殺すためでしょ?と姫野先輩が言うと町を見ていた早川が姫野先輩のほうに振り返った。公安に来る暗めの人は全員そうだから、公安だけが銃野郎の肉片持つこと許されてるもんね、デビルハンターなんて短命なんだから吸っちゃえばいいのにと姫野先輩が言うと、俺は簡単には死なないと早川は言い、そうしてね、バディが死ぬのは面倒だからさと姫野先輩は言った。
町の雑踏の中(回想)
姫野先輩が町の雑踏を早川を連れて歩いていく。あっと姫野先輩が声を出すと、ん?と早川は疑問の声をあげた。ある女性が目の前から歩いてきていた。アキ君はどっか行っててと姫野先輩は早川に指示を出した。姫野先輩は女性と話していると、いきなり女性に頬をたたかれた。女性が去っていくと早川は姫野先輩に近づき、何だ今のと姫野先輩に聞くと、あれは前のバディの彼女さん、死んだバディの遺族とかとトラブルになるのはよくある事、悪魔に仕返しできる力がないから私にあたるの、まあ、そういうのもデビルハンターの仕事の内だって思うことにしてるけどと姫野先輩は説明した。早川はその場を離れ1人で女性の後をつけて、しばらくすると帰って来た。何して来たの?と姫野先輩が早川に質問すると、殴ったヤツの服にこっそりガムつけてやったと早川は答え、へ~?と姫野先輩は驚きの声をあげた。やられたらやり返すべきだ、アンタの問題じゃない、俺がムカつくんだ、だからやり返しといてやった、ざまあみろ、アイツは服についてるガムに気づかず生きてくんだと早川は言った。は、アハハハはハハっ!!と姫野先輩はいきなり声上げて笑いだした。
中華点々(回想)
中華点々という中華飯店で姫野先輩と早川がラーメンやチャーハン、餃子を注文して食事をしている。そういや師匠が言ってたな~、悪魔が恐れるデビルハンターは強いヤツでも勇敢なヤツでもないって、頭のネジがぶっ飛んでるヤツだって、だからアキ君は長生きできそうと姫野先輩が言うと、そりゃ嫌味か?杏仁豆腐いらないならもらうぞと早川は言った。一本あげると姫野先輩は言いながらタバコを早川にすすめると、骨が腐るから吸わないと早川は言った。長い付き合いになりそうだから吸ってほしいな~と姫野先輩が早川の目を見つめながら言うと、一本だけ吸ってやる、一生で吸うタバコはこの一本だけだと早川は言い、姫野先輩からタバコを受け取った。
森のホテルの廊下(現在)
デンジたちがいる廊下に早川が現れ、姫野先輩、タバコ残ってます?と早川が姫野先輩に聞くと、残念!これ最後の一本!と姫野先輩は口にくわえたタバコを指差しながら答えた。じゃ、それくださいよと早川が言うと、え~、しょうがないなあ~と姫野先輩は言うと、自分の吸っていたタバコを早川にあげた。キスだ!ズルい!!間接キスだ!とデンジが早川に言うと、黙れと早川は言って煙を吐き出した。悪いニュースがある、俺達が殺した悪魔がいたろと早川が言うと、ワシが殺したヤツじゃな!とパワーは言い、そいつがどんどん大きくなってると早川は言った。
悪魔を殺した部屋の前
部屋の中から奇形の人の顔や手足の塊のようなものが大きくなり飛び出してきている。確かにワシが殺したハズじゃとパワーが言い、ホテルから出られない、見たこともない形状、こりゃなんの悪魔だ?と姫野先輩は言った。人間、人間達よ、私は契約を交渉する、愚かな人間達よと奇形の悪魔は話した。喋った!とデンジは驚き、契約だと?と早川は疑問の声をあげた。そこのデンジという人間を私に食わせろ、そいつの死体でもいい、私に食わせろ、そうしたら他のデビルハンターは全員無事に外へ返す、無事に返す、契約しろと奇形の悪魔は言った。早川達一同は相談するような目付きでお互いを見ていると、近くの部屋のドアがガチャっと開いた。部屋の中からコベニちゃんが顔をだし、デンジ、食わせろと言いながらナイフを手に持ちながら出てきた。混乱する場は殺意へと変わっていった。
16話『はじめての味』感想
抜け出せない恐怖は人をおかしくしていっていますね。とくにコベニちゃんの狂気じみた行動は恐ろしいですね。前回の話で明かされたコベニちゃんの不遇な生い立ちにも原因があるのですが、かなり深い闇がコベニちゃんの心の奥底に眠っているんでしょうね。狂気と言えばソウルイーターという漫画を思い出しますが、今後は鬼神が出てきたりもするんでしょうか。もしかしてコベニちゃん自身が鬼神になったりもするのではと勝手に予想しています。タバコにまつわる昔話は興味深かったですね。デビルハンターは悪魔を倒すだけでなく、悪魔に仕返しできない人からのあたりも仕事であると考えていた姫野先輩に早川はやり返すべきだと言った。その早川の言葉で責任は全て自分あると考える姫野先輩の心は救われたんじゃないかと思います。タバコの依存度の高さはすごいですね。骨が腐るからと断固拒否していた早川をヘビースモーカーに変身させてしまいましたね。姫野先輩からの誘惑も少しありましたが笑。次回は奇形の悪魔との対戦ですね。コベニちゃんは操られているんでしょうか。精神がおかしくなった
だけなんでしょうか。コベニちゃんの力の一端が見られそうですね。奇形の悪魔を倒して8階を抜けられるんでしょうか。次回も楽しみですね!