鬼滅の刃【ネタバレ】121話
鬼殺隊・霞柱、時透無一郎の目には、「確固たる自分」だけが宿っていた。
今までの回想と想い、経験と、鬼を滅ぼす使命すべてを太刀に載せ、上弦の伍・玉壺に立ち向かう。
玉壺の繰り出す激しい攻撃を難なくかわし、霞の中で玉壺の頸を一刀のもとに切断する。
視界が回る事によって初めて自分の頸が切断されていることに気付く玉壺は、
頸だけになって転がりながらも地団駄を踏み、喚き続ける。
その頭部をさらなる斬撃の連続で細切れにする無一郎は冷たく言い放つ。
「もういいからさ、早く地獄に行ってくれないかな。」
【関連記事】
→上弦の壱・黒死牟(こくしぼう)の正体が日の呼吸・耳飾りの剣士!?
⇒ヒノカミ神楽(カグツチ)の呼吸【初代】日の呼吸の剣士との関係は?
1. 全てを刀に―――
鬼殺隊・霞柱、時透無一郎の目は果てしなく澄んでいた。
お館様の仰った通りだ。〝確固たる自分〟があれば両の足で力いっぱい踏ん張れる。
自分が何者かが分かれば、迷いも、戸惑いも、焦燥も消え失せる。
この振り下ろされる刃から逃れられる鬼はいない。
あの、煮え滾る怒りを思い出せ―――。
無一郎の目に最愛の兄、有一郎の血と涙に溢れた顔が見える。
その兄がうつ伏せで、無一郎の手を握り締め、蛆が湧き腐っていくのを見た。
自分の体にも蛆が湧き始め、死の淵を見た。
運良く助けられなければそのまま死んでいただろう。
記憶を失っても体が覚えている。
死ぬまで消えない怒りだ。
(体に包帯を巻き、汗と疲労に塗れながらガムシャラに刀を振る無一郎がいる)
だから僕は血反吐を吐く程、自分を鍛えて叩き上げたんだ。
鬼を滅ぼすために、奴らを根絶やしにするために!!
今までの全ての想いを太刀に載せ、玉壺へと立ち向かって行く霞柱・時透無一郎であった。
この雄姿を見ろ!括目せよ!
時透無一郎の迷いのない目を、「自分を持っている」目を見ろ!
最愛の兄の死を、自分が死ぬ寸前の光景を見てきた壮絶な記憶―――。
無一郎は、その衝撃に蓋をする為に、自分を守るために自ら記憶を封印したに違いない。
しかし、全てを思い出した今は、「覚悟の格」が圧倒的に違うのだ!
壮絶な過去も、怒りも、血反吐を吐く厳しい修行も、何もかもの全ての「想い」をこの刀に載せ、そのままぶつけるのだ!
こんな無一郎に心から拍手を送ろうではないか!
2. 最終決戦!
「私の華麗なる本気をみるが良い!!」玉壺が荒々しく叫ぶ。
血気術 陣殺魚鱗
(玉壺の魚の鱗の如き波状攻撃の嵐が無一郎を飲み込む)
「どうだ、私のこの自然に反した動きは。鱗によって自由自在で予測は不可能。」
鬼は攻撃を繰り出しながらも喋り続ける。
「さて、お前をどのように料理してやろうか?」
これで終わりだ!! 玉壺は背後から無一郎に高速で一気に近づく。
霞の呼吸 漆(しち)の型 朧(おぼろ)
玉壺の鋭い爪が無一郎の頸を後ろから掻き切った!――かに見えたが、
フッ。 (その姿は煙のように掻き消える―――。)
消えっ…(右斜め後ろに無一郎の姿を認める玉壺) いや、あそこだ!! 見つけた!!
ドゴオ。
玉壺の拳が少年剣士に直撃する。が――― いない!!
ゆらりと前方に無一郎が立ち昇る。 あそこか!! 遅い!!
フオ。玉壺の拳が煙を掴む。 そして辺りは再び白煙に包まれていく―――。
こ……これは、霞に巻かれているような…
フオン。 またしても左後方に少年が現れる。
ブン。 玉壺の拳は空を切り裂くばかり。
「ねえ、君はさ。」捉えきれないところから無一郎の声が聞こえる。
「君はさ。」 どこだ? 玉壺は後ろを咄嗟に振り返る。
「何で自分だけが本気じゃないと思ったの?」
玉壺はまだ奥の手を隠していた。どうやら今までは本気を出していなかったようだ。
相変わらずの自惚れとナルシストと自信の塊には呆れるのを通り越して…、もう恐れ入るばかりである。
私もこれぐらい「図々しく、図太く生きられたら」どんなに楽しいだろう!と、いつも羨ましく思うことが多い事も紛れもない事実である。
それにしても目を見張るのが、無一郎の強さである。
玉壺の本気を完全に翻弄し、さらに遥かその上をいっている。
そして出た言葉が「自分だけが本気じゃないと思ったの?」である。
何と! 無一郎も全然本気を出していなかったのだ!
何もかも無一郎が玉壺より格が上だという事が、ここで判明するのである。
これぞまさに愉快、痛快! 玉壺は〝井の中の蛙〟そのものだったのだ!
3.玉壺の視界
ヒュッ。
玉壺が無一郎の声の方に振り向いた刹那、2人は交差し、鋭い空気音がコダマする。
2つの影が離れた瞬間には、玉壺の頭部は体から切り離されていた。
〝悪鬼滅殺〟無一郎の振り上げた太刀にはこの文字が刻み込まれていた。
なんだ? 何だ? 天地が逆だ。 何が起きている、感覚が消えた。
(玉壺には無一郎が上下逆さまに見えている。)
あの餓鬼、やっと姿を見せた。早くカタを付けて無惨様に報告せねば……。
「お終いだね、さようなら。」
逆さまの無一郎が冷たく言い放つ。
「お前はもう二度と生まれて来なくていいからね。」
ドム。 ゴロゴロ、ゴロ…。
「……?!」
回転する景色…いや、視界に……初めて自分の頸が切断されていること気付く玉壺。
きっ?きっ…!! 斬らっ…斬っ…斬られた?!
斬られた斬られた斬られたアアアア!!!
そんな馬鹿な! 信じられぬ! とんでもない異常事態だ…!!
私が負けたのか? 子供に…!! 私が!
玉壺は、月に向かって吠えたてるのであった。
ほんの一瞬の出来事。
2人がすれ違った時にはもう既に勝負はついていたのだ。
しかし無一郎の技の「切れ」の見事さはどうだ!
そして、頸が斬られているのに…それに気付かずに喋り続ける悪人って……。
しかも斬られた事に気付いてからも、異常に悔しがっているシチュエーションって………。
驚きで開いた口が塞がらない。
かつて今までにこんなマンガを読んだことがあるだろうか?
答えは断じて「ノー!」である。
4. 頸の地団駄
霞の呼吸 漆の型 朧
それは動きに大幅な緩急をつけ敵を撹乱する。
姿を見せる際は亀のように遅く、姿を消す際は瞬き一つの間で動く。
その最高速度は上弦の伍の玉壺をも上回っていた。
手負いの無一郎が上弦を倒す。
確かにこれはとんでもない異常事態なのである。
「くそオオオ!!! あってはならぬことだ!!!」
ギイイイイ。 ギイイイイ。 ジタバタ。
「人間の分際で!! この玉壺様の頸をよくもォ!!」
ギイイイイとさらに玉壺は頸だけで地団駄を踏み続ける。
「貴様らより私には価値がある、選ばれた生物なのだ。」
横にいた刀鍛冶師・穴鉄森も只々、唖然と鬼を見ている。
「弱く生まれた、ただ老いるだけのつまらぬ命を…」
「この手で高尚な作品にしてやったというのに」
玉壺は頸だけでまだ喋り続ける。
「この下等な蛆虫共…」
パガガガガ。 「がっ。」
無一郎の素早い斬撃の連打が玉壺の頭をさらに細切れにする。
「もういいからさ。」
無一郎の氷柱の様な鋭い言葉が、鬼へと突き付けられるのであった。
「早く地獄に行ってくれないかな。」
〝霞の呼吸・漆(しち)の型、「朧」(おぼろ)〟完全勝利。圧勝である。
玉壺にしてみれば、傷付いた子供に頸を斬られるなんて、露程も思っていなかったのだろうが、そうは問屋が卸さない。
霞柱・時透無一郎は圧倒的に強過ぎるのである。
特に、悔しがる玉壺の頭部に〝止めの斬撃連射〟で細切れにする場面は、凄さを通り越して薄ら寒さを覚える程の怖さが滲み出している。
時透無一郎の鬼に対する「心からの怒り」は、情け容赦がないのである。
鬼には無慈悲、鬼よりも鬼になるのである。
鬼滅の刃122話の考察
今週は長かった無一郎と玉壺との闘いにやっと終止符がうたれる。
今まで、時透無一郎が死にかけたり、哀し過ぎる回想があったりで、いつも心を揺さぶられ続けた読者の皆さんも、待ちに待った大勝利で、これでやっと一息つけた筈である。
しかし、時透無一郎の本気モードの驚愕の強さに敵の玉壺に同情を禁じ得ない。
「闘う相手が悪すぎたんだよ、玉壺さん。」と、勝ったからこそ言えてしまうこの瞬間が
たまらなく気持ちいい。
今回は、誰もが久々の大満足、そんな〝スッキリ〟の回となったのである。
さあ! 次は炭次郎、そして恋柱の番である!
彼等もしっかり活躍して我々読者をさらにスッキリさせてくれるはず!
こんなに期待感を持たせてくれるマンガは他にはない!
この心の高鳴りをさらなる力に変換し、次週に向けて「闘いの準備」をしていこうではないか。鬼殺隊と読者の闘いは、まだまだこれからも続いていくのだから。
【関連記事】