今、ジャンプ誌面で怒涛の展開を見せている超人気マンガ「約束のネバーランド」。
この物語もとうとう最終章に入ったとアナウンスされている。
第1部の「グレイス=フィールド農園脱出編」
第2部の「ミネルヴァ探訪編」
第3部の「猟場編」
―————————と続いてきたエマ達の長い旅路も、
現在進行中の第4部をもって終わるというのである。
この第4部もまだ始まったばかりなのだが、
かなりハードで複雑な様相を呈し始めている。
危機また危機の息をもつかせぬ展開に、
読者は振り回されっぱなしなのである。
そしてエマ達にとって大切な2人、ユウゴとルーカスに死が訪れた今・・・・・・
これを一つの区切りとして―———————
もう一度ここで今までの物語を振り返り、
分かり易くまとめ直してみようと思う。
この4部は物語の舞台でざっくり「3つ」に振り分けられる。
➀〝ゴールディ・ポンドの秘密の猟場〟を破壊・脱出してから―————
瀕死の状態から復活したエマ達が手がかりをもとに〝クヴィティダラ〟へと赴く、
「クヴィティダラ幻影編」。
➁1年7か月が経ち——————
エマが〝クヴィティダラ〟で視た幻影の中の風景(寺院と金の池)を調べ尽くし、
やっとその寺院を見つけ出す「寺院探索編」。
➂エマ達のシェルターがアンドリューに急襲を受け、
辛くも脱出して再び地下空間へと逃げのびる「アンドリュー急襲編」。
ここでこの3つをひとつずつ振り返ってまとめてみた。
1.「クヴィティダラ幻影編」(第96話~第101話まで)
レウウィスに瀕死の重傷を負わされたエマだったが、
シェルターでのみんなの「必死の手当て」で無事回復する。
元気になったエマは〝食用児全員の解放〟を目指して、
ミネルヴァさんから受け継いだ、
「ペンの情報」の解読を仲間と共に進めるのだった。
これからのエマ達の課題は3つ—————
⑴〝支援者との連絡を取る〟
⑵〝七つの壁を見つけて鬼との約束を結び直すこと〟
⑶〝フィル達を迎えに戻り人間の世界へ渡る〟事であった。
ひとつめの課題の〝支援者と連絡を取る〟ことは辛うじて成功する。
そこでエマ達は〝支援者〟から
「必ず迎えに行く」というメッセージを受け取るのであった。
二つ目の課題〝七つの壁を見つけて約束を結び直す〟は、
レイがシェルターの資料室で見つけた古文書、
それをみんなで手分けして解読した結果、
そこから——————
「クヴィティダラの竜の目で昼と夜を探すべし」
という文言を導き出す。
エマ達は地図で場所を特定し、
〝クヴィティダラ〟に行くことを決意するのであった。
〝クヴィティダラ〟に無事到着したエマ達探索チーム。
だがその場所は巨大な石の遺跡群が並ぶ広大な荒地であった。
その遺跡に触れたエマはいきなり目の前に
〝クヴィティダラの過去の幻影〟を視る。
その幻影の中に現れた小鬼から
「ちゃんと入り口からおいで。」と言われる。
目が覚めたエマはみんなに〝幻影〟のことを説明し、
「入り口」を調べ直すため、
すぐにシェルターに戻ることにするのであった。
2.「寺院探索編」(第102話、103話)
舞台は——————鬼達の世界の〝とある町〟へと移行する。
その広い通りの真ん中を数人の鬼のグループが颯爽と歩いていた。
その鬼の集団こそ―—————
鬼の仮面をつけ、頭からフードをすっぽり被って変装したエマ達の姿であった。
それはエマ達が〝クヴィティダラ〟から帰還して1年近く経っての事であった。
エマが〝クヴィティダラ〟で視た幻影の中の「寺院」と「金の水」。
これが〝七つの壁〟へと必ず通じると確信した子供達は、
ただひたすらに目ぼしい場所を虱潰しに調べていくのだった。
そして今、エマ達は
その候補地の一つであるこの「鬼の町」に、
危険を冒して調べに来ていたのである。
その「寺院」は鬼の町のはずれにあった。
そこは静かな佇まいの寂れた「寺院」であった。
小さな塔が6つありそれぞれにいろんなものがお供えされていた。
そのひとつの鬼のミイラが、
エマが幻影で視た小鬼に似ていることを確信する。
そして上の天井画の〝昼と夜〟や〝金の水〟を発見するのであった。
すべての探索を終え、
シェルターへ帰還したエマ達はみんなにその成果を発表する。
「寺の6つの塔全ての天井絵を繋ぎ合わせたら
〝入口〟と入る方法が分かった!」
これで〝昼と夜の場所〟へ行ける! どうやって行くかというと、
その方法はコレ—————―
そう言いながらエマはバッグの中から
容器に入った「金の水」を取り出すのであった。
が! その瞬間シェルター内に爆音が響き渡り、敵が侵入してくるのだった。
3.「アンドリュー急襲編」(第104話から現在に至る)
奇襲してきたのは特殊部隊のアンドリューとその部下8人。
エマ達を執拗に追い続け、
抹殺しようとするラートリー家当主ピーターの部下達である。
エマ達はすぐに「隠し部屋」に避難して態勢を整え、
シェルターを捨てることを決断し、
急遽非常路を進んで全員で地上への出入り口へと向かうのであった。
もう少しで地上への出口!
という所で・・・突然上から死体が降って来る!?
地上への出口にも待ち伏せされていたのだ!!
次いで催涙ガスも投げ込まれるが、防火戸を下ろして何とか凌ぎきる。
もうこれで終わりか!?
絶体絶命!?
追い詰められたエマ達だったが・・・・・
そこに息を切らしたロッシーがやって来る。
彼はルーカスと共に「別の隠し部屋」に潜み、
エマ達とは別行動をとっていたのだ。
ルーカスは敵の無線を傍受し、その包囲に隙がある事を知ると、
ロッシーにその情報を託して、エマのもとに伝えに走らせたのだ!
その後エマ達とルーカスは合流し、
敵の盲点を突いて無事に地上へと脱出を果たした。
が! ユウゴとルーカスは踵を返しシェルターへと戻って行った。
彼等2人がシェルターに残って、
今の敵を倒す事で、「後々の追っ手の攻撃を断ち切る」という考えからであった。
そして、ユウゴとルーカスはシェルターの地の利を生かして、
敵を一人ずつ確実に倒していく。
追いつ追われつの激しい攻防が続く―———————。
残る敵は後2人となり、善戦するユウゴとルーカス。
しかし敵もさることながら、少しずつ勢いを巻き返してくる。
傷付いた2人を容赦なく襲う銃弾の嵐。
自由に動けなくなった2人は、這いながら「武器庫」へと落ちのびる。
何とか部屋に辿り着くも——————
2人とも血まみれでうつ伏せのまま少しも動かない。
追ってきたアンドリューが止めを刺そうと後頭部に銃を突きつけた————
瞬間、
異様な気配に気付く。
「武器庫」一面に可燃ガスが吹き出していたのだ。
そう、ユウゴとルーカスは身を挺して「武器庫」に追っ手をおびき寄せ、
敵諸共〝自爆〟してエマたちを守ろうと画策していたのだ。
アンドリューがその考えに至るより一瞬早く、
横に伏せていたルーカスが片腕を上げ、
「カチッ」と引き金を引く。
刹那、「武器庫」一帯は激しい爆発に包まれるのであった。
一方―————
その白煙を遠くから茫然と見ていたのはほかならぬエマその人であった。
彼女は2人と別れた後、
避難場所の地下広場で一人で悩みぬいていたのだ。
と、そこに突然ユウゴが現れ、落ち込むエマを励まし勇気付ける。
彼から元気をもらうエマだったが・・・・
彼女はユウゴが夢の中の住人だという事に気付く。
ユウゴはエマに最後の別れを言いに来たのだと—————。
(その時ユウゴは・・・シェルターが爆発した瞬間、
昔の仲間の「輪」の中に温かく迎え入れられ、
今までにない最高の笑顔を浮かべているのだった・・・・・。)
その日の夜、やはり2人は帰って来なかった。
探しに行く行かないの戦々恐々の議論が続く中、
現時点では何もできない事を自覚する子供達は—————
「待つしかない」と自分達に必死に言い聞かせるのであった。
「まずは食べよう。」
エマの一言が場を和やかにし、全員で静かに夕食をとる。
その後子供達は疲れから束の間の眠りへとつく。
と・・・オリバーがエマに近づき紙切れを差し出す。
それは襲撃の前に、
〝支援者〟から送られたメッセージをルーカスがメモしたモノであった。
そのメッセージは、
死んだと思われていたミネルヴァさんと名乗る人物からのもので、
指定した場所に来るようにと指示する内容であった。
オリバーはルーカスから—————
「自分達が1日経っても戻らなければ、このメモをエマに見せるように」
と指示されていたのだ。
2人はこの結末を最初から覚悟していたのだ。
そしてエマとルーカスに全てを「託した」のだ。
こうして2人はユウゴとエマの2人の「強い想い」を
しっかりと受け止めるのであった。
その頃―————数人の子ども達が地下空間を急ぎ走っていた。
ユウゴとルーカスをこのままにしておくわけにはいかないと感じた少年少女達が
エマに無断でシェルターへと向かっていたのだ!
「見つけた。」
その時、駆ける子ども達の横の木の影から・・・
ジッと彼等を見つめる人物がいた。
それは血まみれで、傷だらけで・・・・
目の奥に狂気を宿した・・・
鬼の形相のアンドリューであった・・・・・・!?
[考察:今までを振り返って]
駆け足で第4部の最初から今までの展開を振り返って来たのだが——————
クヴィティダラの探索~幻影~鬼の寺院
~シェルターに急襲~ユウゴとルーカスの死
この目まぐるしいジェットコースターのよう
な激しいアトラクション的なストーリーの流れに、
読者はつねに翻弄させられっぱなしである。
それに伴うエマの感情の浮き沈みも激しく、
読む者の心を大きく揺さぶられることもしばしばである。
そして、〝七つの壁〟〝昼と夜〟〝支援者〟〝寺院のお供え物と天井画〟などの
謎とパズル的な要素が目白押しで——————難解さも増し、
読者の頭をとことんフル稼働させられる面白さも倍増している。
そして、
〝ユウゴとルーカスはエマ達を助けて昔の仲間の元に帰って行った・・・・〟
2人の笑顔が見られたのは・・・とても良かったのだが・・・
こんな形で笑顔を見ることになろうとは———————
読者は図らずも〝哀しみから笑顔が生まれる瞬間〟を目撃する事となる。
でももうこんな哀しみは二度と御免だ!
エマやレイ、
ユウゴやルーカス、
必死な少年少女達・・・
みんなのそれぞれの想いをシッカリと噛みしめて——————
今回の「第4部を振り返る」考察を終わろうと思う。