約束のネバーランド【ネタバレ】124話
エマとレイはノーマンの仲間達とお茶を共にする。
彼等の名はシスロにバーバラ、ヴィンセント。
彼等も農園からの脱走者でノーマンを崇拝しており、
ノーマンの昔からの仲間であるエマとレイに興味を持っていたのだ。
全員は「ノーマンの話」で次第に打ち解けていくが・・・
いつしか話は〝鬼を殺す〟ことへと移行する。
が、鬼を殺す事を望まないエマに
バーバラは怒りを露わに襲いかかろうとするが・・・
間一髪でシスロが止めに入るのであった。
―———————その頃ノーマンはとある場所に赴いていた。
「あなた方と同盟を結びに来ました。この世界を破壊しましょう。」
ノーマンは鬼達に向かってそう語りかけるのであった———————————。
聞かせろよ!
ヴィンセントがエマとレイにコーヒーを運んでくる。
部屋にいるみんなの視線がエマとレイにのしかかる。
「俺はシスロ、で・・・そっちはバーバラ。」
短髪でマッチョな男が口を開く。
「そんでコーヒー持ってきたのがヴィンセント。
で、エマとレイだっけ? グレイス=フィールドの・・・」
「はい・・・。」 エマが答える。
「俺達も脱走者だかんな!
てか俺達の方がすげぇかんな!! 農園ぶっ潰してっかんな!!」
シスロが気負いこむ。
「子供じみた対抗心で張り合おうとしているんだ。」
奥からヴィンセントが言う。
「すまんが適当に肯定してやってくれ。」
「スゲーっす! 俺達にはできねーっす! さすがっす!」レイが褒め称える。
(レイ、わざとらし過ぎるよ―———!)
エマが心の中で焦りながら彼等を見ると———————!!
(え―————!! それでいいの———————!!)
シスロとバーバラは鼻高で超嬉しそうなのであった!!
そんな中、レイはバーバラの「胸の紋様」を見つける―—————
あのマークと位置・・・
ノーマンと同じ「ラムダ」だ・・・
農園をぶっ潰せるってことは
この3人も〝特殊能力者〟?
そしてボスの部屋でこの態度・・・
ハヤトやジンのようじゃない・・・
とりあえずは大人しくして面倒は避けよう。
「よう・・・・いい機会だから聞かせてもらおうじゃねえか、あいつの話をよォ。」
シスロは二人に詰め寄る。
「あいつ?」とレイ。
「ボスだよ! ミネルヴァ!」
「お前ら的に呼べば〝ノーマン〟の話!」
バーバラとシスロは赤面してモジモジしながら聞いてくるのであった―———————―——。
さすがレイ!! バーバラの胸のマークから・・・
冷静に分析して様々な情報を読み取っていく————————!!
そして面倒を避けるために「上手く迎合する事」を瞬時に決断する!
この頭の回転の早さこそレイのレイたるが所以!!
最高にカッコイイ! いつも惚れ惚れするのである。
そして・・・・何だ!! シスロとバーバラの・・・この可愛らしさは!!
一見イカツクて怖そうな3人なのだが・・・
恥ずかし気に「ボスの事」を尋ねるシスロとバーバラには
とても親近感を抱いてしまう!
こんな彼等をメロメロにしてしまうなんて・・・・
ノーマンが〝超魅力的な男性〟に成長した「証」なのではと思わせてくれるのである。
シスロとバーバラ、ヴィンセントに注意して次章を見ていこう。
ノーマンってどんな奴?
「そう・・・こいつらはボスが大好きなのさ。」とヴィンセント。
「うるせー! てめーもだろ!」二人が突っ込む。
「どうしても気になるんだよ!?」シスロが頭を抱える。
「あんたら昔から超仲が良い知り合いだってゆうじゃん!!」とバーバラ。
「で! 〝ノーマン〟ってどんな奴なんだよ!!」
「今も昔も変わらないと思いますが・・・」 エマが口を開く。
「優しくて頭が良くて、フワッとニコニコ微笑んで春風のよう・・・」
「フワッ? ニコニコ? そんなの全然ちげぇ!!」
「え? じゃあ今のノーマンはどんななの?」とエマは逆に問う。
「キリッ。」
「冬。」
「帝王。」
バーバラ、ヴィンセント、シスロの順に答える。
ブハァッ!! 予想外の答えにレイがコーヒーを吹き出す!
エマは目が点である。
「なあ! もっと聞かせてくれよ! 昔の話を!」
シスロがせっつく。
そんなこんなで、
レイとエマは思い出せる限りの「ノーマンのエピソード」を
みんなに語り聞かせるのであった———————————。
みんなのノーマンに対するイメージ―—————
「フワフワ」と「キリッ」
「優しい」と「帝王」
「春」と「冬」
これでは全く真逆ではないか!
エマが知る昔のノーマンはもういないのか?
彼はホントに変わってしまったのだろうか?
その答えは遅かれ早かれ明らかになるはずである。
ラムダの日々
ノーマンの話題で和やかな時が過ぎていった。
「ありがとう・・・いい話を聞かせてもらいました。」
ヴィンセントの目から涙が零れ落ちる。
「結局てめーが・・・・一番ノッてんじゃねェか!」シスロが笑う。
「しかしボスは昔からカッケーなァ。いっぱい話聞けて良かった! ありがとな!」
シスロは素直に感謝を示す。
「今のノーマンって・・・?」逆にエマが問う。
「仲間思いで、いいヤツだよ。」とヴィンセント。
「今も俺達を救うために寝る間も惜しんで尽くしている。」とシスロ。
「みんながアイツに救われたのさ。
俺達のこの〝力〟の使い道もアイツが気付かせてくれたんだ。」
「〝力〟・・・ラムダの・・・?」エマが問う。
シスロは続ける。
「試験農園ラムダ7214。俺達はそこで出会った。
出身は違うが・・・俺達3人はラムダで〝力〟を得た。
そのラムダでの毎日は地獄だった。
いや、地獄なんて言葉も生温い・・・
たくさんの仲間が死んだし殺された。
そう、俺達は物よりも酷い扱いだった・・・。
ボスが来なけりゃ俺も生きてなかった。
その時は12のガキだったボスが神様に見えたよ。
その後―——————————
ボスが策を立て、ザジを含めた俺達4人が〝農園潰し〟を始めたんだ。
全部俺達5人してきたのさ。」
「5人・・・!」レイが驚く。
「たったの・・・!?」エマも開いた口が塞がらない。
「そう! だから言ったろう! 俺達はすげぇって!」
「ああ! 楽しみだなぁ。早く奴らを皆殺しにしてぇ。」
シスロの目は〝狂人〟のような光を喜々と宿していた。
(エマの顔に驚きが浮かぶ。)
「鬼を消すたびに胸がスカッとするんだ!」とシスロ。
「ああ、アタシも奴らの肉を食うとムカムカが消えるんだ。」バーバラも言う。
「え・・・じゃあその肉・・・」レイが問う。
「そうだよ〝鬼の肉〟。」バーバラは持っている「棒突き肉」を見て答える。
(エマは驚愕する。)
「あの苦痛や毎日が・・・今でも頭や体にこびりついてるんだ。」
バーバラはテーブルに上がる。
「ただ殺すだけじゃ足りねぇ。」その顔は獣そのものだった。
「ラートリー家も鬼共も一匹残らず同じ目にあわせてやるのさ!!」
(エマの目が困惑と恐怖に染まる!)
カタン! 大きな衝突音が辺りに響き渡る!
バーバラがいきなりテーブルに「鬼の骨」を落としたのだった————————————。
ここでは3人の過去が描かれる。
全員は〝ラムダ繋がり〟だったのだ!
しかもノーマン以外の3人とザジは実験体だった!
その苦痛と地獄の日々を耐え抜き、
それでも心が折れそうになった時に・・・ノーマンに助けられれば、
確かに彼がこの世の者ならぬ〝神々しい存在〟に見えても仕方がないであろう。
心の底から「鬼」を憎み、絶滅させようと思う「残虐な気持ち」と
ノーマンを無条件で愛し忠誠を尽くそうとする「崇高な気持ち」。
この2つを併せ持っているのが彼等3人なのである。
と! 突然バーバラの周りの空気が一変する!!
何が起ころうとしているのだろうか? 急ぎ次へ進もう。
豹変
「何? その顔!」
バーバラの表情が獣の如く豹変する。
「まさかアンタ鬼に同情してる?」
(エマは恐怖で声が出せない・・・・・・)
「あんた食用児のクセに『鬼を殺したくない』とか思ってるわけ?」
バーバラの怒りが剥き出しになる。
「そういや『ボスに話がある』って・・・まさか『計画変えて』とかじゃねえよな。」
ベキィ! 彼女はテーブルの上の「鬼の骨」を踏みつけて粉砕する!!
「オイよせ、アジトが壊れる。」シスロが止める。
メキメキ メキ・・・・
「鬼は退治すべきだろが!!」 バーバラの怒りは収まらない。
踏みしめた足がテーブルを震わせる。
メキメキメキメキイィ・・・・・・
足元のテーブルに激く亀裂が走る!
「バーバラ。 や・め・ろ。」
シスロの〝ヤバイ獣の目〟がバーバラに向けられる。
ふっ・・・ 突然バーバラの殺意が消え、場に静寂が戻る。
「もう遅い。万事支障はないよ。」
その静寂をヴィンセントが破る。
「ボスは計画を早めて今朝作戦を開始した。」
「追ったとしてももう間に合わんし、
戻る頃には誰にも何も止められはしない。」
計画・・・・レイが訝る。
「外出中って・・・ノーマンは一体何を——————?」
「会いに行っている。」ヴィンセントが答える。(駒の一つにな・・・)
その頃、とある場所では―—————————
「手紙は受け取ったよW・ミネルヴァ。」
手紙を持った影が答える。
「用件はそこに書いた通りです。」ノーマンが答える。
「私はあなた方と正式に同盟を結びに来た。共にこの世界を破壊しましょう。」
ノーマンがそう話しかけたのは・・・・
彼をジッと見据える4人の〝異形の鬼〟達であった——————————。
バーバラの豹変!!
エマが鬼に同情し、救いたいと知った瞬間に「バーバラの笑顔」が殺意へと変わる!!
足元を粉々に破壊する恐るべきパワーが半端ない!
しかもそれを止めたシスロの目がもっと怖い!
ヴィンセントの目も冷酷な獣に戻っているし・・・・
何なんだこの3人は?! 一発触発だ!!
これではまだまだ敵なのか味方なのか分からないではないか!
ただ一つ言えるのは・・・彼等にはこれからも注意が必要に違いないということ。
そしてもっと気になるのがノーマンの行方だ!
彼の同盟先はなんと・・・「鬼」だったのだ!!
これにはどういう意図が隠されているのだろうか?
今のままでは読者は何も知るすべがないのである。
来週を待つしか手はないのだ。
約束のネバーランド124話の感想
今回のキイワードは〝二重人格〟である。
それは今回紹介された新キャラのシスロ、バーバラと、
前から登場していたヴィンセントに如実に見られる。
3人とも「ノーマン大好き」で―———————
シスロとバーバラはノーマンの事なら何でも知りたいと顔を赤らめて照れまくり・・・・
ヴィンセントもノーマンの話に感動して涙を見せるのである。
が、バーバラは憎悪と殺意を剥き出してエマへ襲い掛かろうとし、
さらなる大きな殺意でシスロがそれを止める。
笑顔であったヴィンセントも冷酷な殺し屋の目になるのである。
こんなにも極端過ぎる〝二重人格〟があるだろうか?
ついさっきまで心の底から笑っていた3人が―—————————
ほんの一瞬で・・・圧倒的な憎悪と殺意に包まれるのだ!?
この「二重人格」は実験の後遺症や影響ではないか?・・・とも考えられ・・・・・
一筋縄ではいかない複雑な状況が事態をさらに悪化させるのである。
そして一番問題な〝二重人格〟が・・・
ノーマンである。
エマの前のノーマンと、エマの前以外でのノーマンは明らかに違う!
エマの前では明るく朗らかで春風のような優しいノーマンなのだが、
そ他の人の前では氷のような冷ややかさと帝王のようなカリスマの塊なのである。
そして今回のラスト―—————
「鬼の絶滅」を計画するノーマンがなぜ鬼達と同盟を結ぼうとしているのか?
そこには〝二重人格〟に彩られた―——————
冷徹で血生臭い「何か」が隠されているのでは? ・・・と勘繰らずにはいられない!
「朗らかなノーマン」と「冷徹な帝王ノーマン」、
どちらが本当のノーマンなのだろう?
我々読者は、明るく朗らかなノーマンが〝真のノーマン〟であり、
冷たい帝王ノーマンは・・・・・
みんなをまとめていくために作られた〝偽ノーマン〟であることを心から信じたい!
そして、心優しいエマが・・・
これからも「ノーマンに翻弄されないように!」・・・と、
我々読者は心の底から願ってやまないのである。