アリシアを人質にしていたアンドリューを無数の弾丸が襲う!
それはオリバーが撃ったものだった。
アンドリューはそれでもしぶとくドミニクを踏み殺そうとする。
刹那! 後ろから〝野生の鬼〟がアンドリューを襲い、頭から丸飲みされるのであった!!
その後全員を救い出したエマ達は「地下広場」へと帰還する。
帰ったメンバーからの報告で、
ユウゴとルーカスの死を知った子供達全員が涙に暮れるのであった。
と、レイが一羽のフクロウを矢で撃ち落とす。
そのフクロウはラートリー家が作った「監視カメラ」であった。
このカメラのせいでシェルターがバレ、
今いるところも危険だと察知したレイは今すぐここを出る決意をする。
エマがみんなを元気づけ、
ルーカスが受け取ったメッセージ中の、
ミネルヴァさんから示された「呼びかけの場所」へ
みんなで行こうと力強く呼びかけるのだった。
————————その頃、
ある人影が、「メッセージがシェルターに届いたかな?」と思案していた。
そしてもう一つの人影が、後ろから彼にこう答えるのだった。
「ああ、そのはずだ。 始めるぞジェイムズ。」
[st_af id="668"]
約束のネバーランド【ネタバレ】112話
1.アンドリューの最期
「馬鹿め! 生きているのは私だ!」
アリシアを小脇に抱え、彼女の頭に銃口を突き付けたアンドリューが叫ぶ!
「天は私の味方なのだ!! アハハハハハッ!」
パン
パン、パン!?
と、3発の銃弾がアンドリューに食い込む。
「は?」 腕が破壊され、アリシアは放り投げられる。
咄嗟の事でアンドリューには事態が把握できない。
「今だ!!」 その一瞬の隙にエマとザックが駆け寄る!
何が起きた? アンドリューにはまだ状況が分からない。
「アリシア! 来い!!」ザックが彼女に手を差し出す。
アリシアは泣きながらザックの腕に飛び込む!
手を撃たれた? 肩も?
関節の破壊? 正確に? そしてアンドリューは気付く。
物陰から狙っているオリバーの姿に———————
「俺達をナメるなよ!!」 オリバーは鬼の形相である。
「チィッ」
アンドリューは地面に伏せるもう一人の人質であるドミニクに目をやる。
ドミニク・・・!! (エマが彼に右手を差し出しながら5本の指を広げる。)
させるか!!
「踏み殺してやるぁ!!」アンドリューがドミニクに素早く近づく!
レイが銃を構える。
————と、「子供がそんなもの背負う必要はねえよ。」
一瞬だけユウゴの言葉が甦る。
ごめんユウゴ。
「俺は背負う覚悟はもうできている!!」
そしてレイはアンドリューの額にロックオンする!
「死ねェ!!!」アンドリューが咆哮する!
(エマがもう少しでドミニクに届く!)
しかしエマより早くアンドリューの蹴りがドミニクに突き刺さろうと———————
鬼!?
それは巨大な野生の鬼であった!!!
その鬼はアンドリューの後ろに来ていたのだ!!
アンドリューは振り返る・・・・
(エマはドミニクを救い出す・・・)
「っぎゃああああああァ!!」
刹那、アンドリューは鬼に頭から飲み込まれていた!
「今の内だ逃げろ!!」
エマ達はその場を急ぎ走り去るのだった。
「あ・・・・」
鬼の口からアンドリューの声が漏れる。
ゲプッ そして「鬼」は・・・彼を完全に飲み下した。
静寂が戻る。
地下のだだっ広い空間―——————。
そこには「アンドリューの眼鏡」だけが、無造作に転がっているだけであった。
邪悪なアンドリューの最期である。
悪党は報いを受けると言うが・・・・
まるで「ジュラシックワールド」で恐竜が人間を飲み込むがごときの唐突さに、
読む者全員は度肝を抜かれ、啞然とし、圧倒されたであろう!?
そして手を下したのが人間ではなく「鬼」だったというのが皮肉でもある。
しかし、レイが人間を撃たなくてホント良かったぁ~!!
覚悟してたとはいえ、自分から重荷を背負わなくてもいいのだ。
その事は作者もしっかり分かっているので、
オリバーは肩と腕しか撃たず、
レイに「汚れ仕事」はさせなかったのだ。
とにかく、人質の2人が無事帰還できてよかったぁ~!!
その事は素直に喜ぼうではないか。
2.追悼
子供達全員が集まっている「地下広場」。
そこには重苦しい空気が漂っていた。
「そんな・・・」
「ユウゴもルーカスも・・・・」
「死んだ・・・・?」
子供達は口々に呟く・・・・・。
「立派な最期だった。」
オリバーが俯き加減で言う。
「俺達を守って最後まで——————」
さらに重苦しい空気が立ち込め、
それは全員の心にずっしりと鉛のように溜まり込んでいく。
ルーカス・・・・
(全ての子供が2人の思い出を噛み締める・・・・)
ユウゴ・・・・
(全ての子供が2人の笑顔を抱きしめる・・・・)
そっか・・・・
2人とも・・・・
もういないんだ。
「う・・・・」
「うわああああああああああぁぁぁぁぁ」
ジリアンが堪えきれずに泣き崩れる。
(全員の顔が歪む)。
「いいよ今だけは泣こう。」
普段気丈で決して涙を見せないポーラが涙ぐむ・・・・。
わあああああああああああああ
ああああああああぁぁぁぁあぁぁぁぁああぁ
そのポーラの言葉を合図に、
その場の全員が一斉に泣き叫び、哀しみが大きく木霊するのであった。
それから暫くして——————
と! レイが反射的に何かに気付く!
「いた!」
彼はすかさずそれに矢を射かけるのであった。
「約束のネバーランド」史上、全てが一番重たい空気に包まれる。
ユウゴとルーカスの死が・・・・子供達全員の心に大きな傷跡を残したのだ。
主要な登場人物が一挙に2人も天に召されてしまうなんて・・・・
年端もいかない子供達にとって、こんなに残酷なことはない。
子供には自分の心の一部、体の一部を引きちぎられるのと同なのだ。
悼もう。
深く、果てしなく悼もう。
子供達も、読者も、作者も・・・・・
今はそうする事しかできないのだから・・・・・・・・。
3.フクロウの秘密
ドサッ。
レイが矢で撃ち落としたのは一羽のフクロウであった。
「こいつだ。」 レイが言う。
「!?」 「レイ?」 「何?」
少年たちが口々に囁く。
「これって・・・・フクロウ?」
「いや、よく見ろ。」ナイジェルが指摘する。
「これ・・・・カメラだ。」
レイに落とされたフクロウの首からは、冷たい銀色の機械類が見えていた。
レイがみんなに説明する。
「なぜ奴らにこの場所が判ったのか?
なぜ奴らが死角を縫ってシェルターまで来れたのか?」
「その答えがこれだ。」
「そうか、コイツが俺達のカメラの位置を特定して、
逃げた俺達の居所も知らせていったてことか。」ペペが言う。
「恐らく・・・」
レイは相槌を打つ。
「もっと早く気付くべきだった・・・・」
「思えばコイツはいつもずっと近くにいた。」レイは歯がみする。
「ずっと尾行されていたんだ・・・・・!」そしてみんなに言い放つ。
「ここもダメだ! すぐにでも捨てるぞ!」 「!!」
「敵のカメラがこれ一つだとは限らないし、
ひとつだとしても、もうここもバレている可能性がある。」レイは言い切る。
「でもシェルターもここも捨てて一体どこへ?」ギルダが問う。
「あてもなくさまようのか・・・・・」ナットも呟く。
「オリバー。」
その時、エマが状況を見かねて彼に呼びかけるのであった。
ちょっと待って!?
いつも近くに飛んでいた「フクロウ」が監視カメラだった?
うわ~! 全く気付かなかったし予想外、完全な想定外だ!
あれ? という事は、アンドリューが言っていた・・・・
「全ての支援者を捕まえて殺す前に聞き出した。」と言うのは嘘だという事になる。
確かにそれであれば、特殊部隊がシェルターの中の「隠し部屋」や
複数の通路に気付かなかったことにも合点がいく。
フクロウはそこまでは入れないからだ。
そしてこのアンドリューの言葉が「嘘」であるならば・・・・
〝支援者〟は、生きているという可能性が生まれるのである!!
これは「新たな希望」が湧いて来たぞ!!
今の場所から逃げなくてはダメなのは仕方がないが、
この情報はエマ達にとっては非常に有益には違いない!
では心して最後の章を読もう。
4.行こう! あの場所へ!!
「ああ。」 オリバーはエマの呼びかけに答えて前に出る。
右手の紙切れを高く持ち上げ、みんなに呼びかける。
「みんな、ルーカスが最後に受けた電話がある。」
全員に驚きが走る。
(オリバーは全員にメモの内容を話して聞かせる。)
「ミネルヴァさんが生きてる?」
「あるいは生き残りの支援者か?」
「味方・・・・!」
少年少女たちが口々に疑問を呟く。
でもまた旅・・・・・
シェルターに続きこの場所も失うのか・・・
家も仲間も奪われ、ユウゴ達も・・・・
「苦しい。」
「悔しい。」
「俺達に安息の生活はないのか・・・・!」
子供達はそれぞれに自分の本音を吐露する。
もう全員、精神的にギリギリなのだ。
「うん、ないよ。」
突然、エマの声が辺り一面に大きく響く。
が、言葉とは裏腹にエマの顔は笑顔に輝いている!!
「だからそれを手に入れるために私達は戦っているんだよ!!」
周りの子供達はエマの言葉に一気に聞き入る。
エマは明るく語を続ける。
(フィルと約束した2年まであと2か月・・・)
「それまでには必ず世界を変える。」
「私達にならできる、いや、やるんだ!! ユウゴ達の分まで!」
「そのためにも行こう! 前へと進もう!
希望があるならどこへでも、何度でも!」
「行こうみんなで! この〝呼びかけの場所〟へ・・・・!」
エマの声はあくまで力強く、みんなの心を動かすには十分な力を持っているのだった!
————————それと時を同じくして、とある屋敷の一室でのこと。
「あの放送、あのシェルターに届いたかな?」
顔を読者から反対方向へと向けている青年から言葉が漏れる。
「ああ、そのはずだ。」
もう一つの人影が青年の後ろから答える。
そして自信に満ちた声で、ゆっくりと彼に語を続けるのであった。
「始めるぞ、ジェイムズ。」
またこの地下広場を捨てて、どこかへ旅をしなければならない。
この状況に子供達は打ちのめされ、
どうしようもない不安と苦痛、虚しさを感じ取る。
「闇の袋小路」に入りかけた彼等の心を、エマの言葉がすくい上げる。
「安穏の生活が今はないから、手に入れるために戦っているんだ!」
この本質を突いた言葉は、全員の心に見事に突き刺さり、
次へと進むエネルギーへと変えてくれるのだ!!
さらにエマは言葉と希望を畳み掛けて、
沈みそうなみんなの心を高みへと引き上げるのである。
この説得力の強靭さには、只々恐れ入るばかりだ。
あと! 最後に出てきたジェイムズと呼ばれた謎の青年!?
彼は〝支援者〟に違いないが、ラートリー家とは一体どういう関係なのか?
歳は若そうなので、「ペンを残したミネルヴァさん」ではないとは思うのだが・・・・
果たして正体はいかに? その問題は次回以降への持ち越しである。
約束のネバーランド112話の感想
今週のテーマは〝死から再生へ〟である。
アンドリューが死ぬことにより人質だった子供達は生き残り、
フクロウが死ぬことで〝支援者〟が生きている可能性が出てくる。
ユウゴとルーカスの死により、新たに「呼びかけの場所」が示され、
ずっと死んでいたと思われていたミネルヴァさん(ジェイムズ)が?
違った形で誌面へ登場するのである。
まさに今回は一つの「死」から様々な「生」が見え隠れするのである!
これも「この物語」の根底に流れる幾つかの「テーマ」の一つなのである。
さあ! サイコパス野郎アンドリューと決着もつき、
「新たな場所」へと進みだす来週である!!
エマ達は「指定された場所」に行けば、本当にこの世界を終わらせ、
笑顔で楽しく暮らせる毎日を手に入れられるのか?
これからのジェイムズとの接点は?
そしてあと2か月以内にフィルを迎えにいけるのか?
鬼との約束、七つの壁、人間界への秘密の通路などなど——————
相変わらずの問題山積み、ハードワーク状態である。
ホントにこれからエマ達は大丈夫なのか?
読者もやはり不安なのである。
けど、それは全く心配ないことが
エマの言葉で証明されている。
という事で、今週はこの「エマの言葉」で最後を締めくくろう。
なぜって・・・この言葉を聞くといつも勇気と元気が湧いて来るからだ!!
「行こう! 希望があるならどこへでも! 何度でも!」
このポジティブさがみなさんに伝われば幸いです。
[st_af id="670"]