前回のあらすじ
山奥の温泉「ベンケユ」では菊田が下駄男を張り込んでいた。
下駄男とは都丹のことであり、都丹は以前に「ベンケユ」で菊田の部下である有古に姿を見られていた。
有古は「ベンケユ」に近いアイヌの村で下駄を履いて一人で温泉に入りに来る変な柄の服を着た男について聞き込みを行っていると村のアイヌから「それは服ではなく刺青」だと聞かされる。
有古が刺青の情報を入手していた頃、「ベンケユ」では、明かりをつけた都丹が現れていた。
「そこの男・・・!! ゆっくりと上着を脱いでみせろ」と菊田が拳銃をもって言うが、都丹の目的は自身を嗅ぎまわる菊田を消すことであった。
明かりの消した都丹が攻勢に出るが、菊田は暗闇の中でも自由に反撃を行う。
思わぬ反撃に都丹は戸惑い、都丹の仲間も姿を現すが、菊田は動じない。
「てめぇら全員見えてるぜ」
ゴールデンカムイ194話「硫黄のにおい」はじまります。
死線を確保
海賊が眼帯をしているのは船内に突入するとき暗さに眼を慣らしておくという「説」もある。
夜間の戦闘も想定し日暮れ前から眼帯をしていた菊田曹長の左目は暗闇に完全に慣れていた。
「お前ら引けッ 見えているぞッ!!」
都丹は仲間にそう伝えながら、「だから新月にしろって言ったんだ」とボヤく。
都丹は続けて谷へ降りるように仲間達に指示するが、菊田がそれを許さない。
菊田の猛追が始まるなか、当時の登別温泉は現在よりも火山ガスは活発であったと考えられ、吹き出るガスに菊田は視界を奪われる。
都丹は網走監獄でも活躍した聴覚を保護する器具をつけながら「硫黄の臭いはうんざりだぜ 金塊の分け前をもらったら・・・ 海の近くで暮らそうか」と話す。
一方で菊田は二丁拳銃を構いながら都丹の仲間達と対峙する。
都丹の仲間が標的の動き回るのを封じると、都丹が位置を確認して発砲する。
この連携によって菊田は拳銃の弾切れのタイミングを狙われ胸部に被弾してしまう。
菊田を倒したかと思われたが、菊田は何事もなかったように自身の動きを封じてくる都丹の部下に弾丸を二発叩き込む。
その光景に驚く都丹だったが、菊田の上着のしたには大量のナガンM1895が吊り下げられていた。
「ふざけやがって俺の大事な戦利品を・・・・・」
菊田曹長は日露戦争時、殺したロシア将校から鹵獲することにとりつかれた。
とくにナガンM1895がお気に入りで部下にも探すように頼んだほどだった。
体制を立て直した菊田の背後に別の都丹の仲間が迫るが、菊田が振り返ると宇佐美が都丹の部下を銃剣で貫いていた。
「撃たないでくださーい 僕でーす」と言いながら近寄る宇佐美。
宇佐美に刺された都丹の仲間は「ほかにも仲間がきているぞ」と声を挙げて都丹に伝える。
直後に菊田が叫んだ都丹の仲間にトドメを刺し、動こうとする都丹を二階堂が射撃で牽制する。
この状況に形勢が不利とみた都丹は山の方へ逃げる。
そこへ銃声を聞きつけて有古が菊田と合流し自身が見たのは服ではなく刺青だったと伝える。
菊田は追撃を命じ、一行は都丹を追撃する。
追撃の途中で菊田は宇佐美話しかける。
「ところで宇佐美てめぇ助太刀する頃合いが良すぎるな?」
「さては二階堂とアイヌの温泉で張り込んでたろ?」
「本当テメェらも有古の話にピンと来て、抜け駆けするつもりだったな?」
宇佐美は菊田の問いかけに「いやぁ~ バレました?」と軽口を叩くように答えた。
追撃を受ける都丹は古い坑道に逃げ込んでいた。
間もなく菊田たちが行動の入り口にたどり着き、その中でも有古は小さい頃に入ったことがあると言う。
有古によると崩れていなければ出口は複数あり、さらに坑道の奥から都丹の下駄のような音が聞こえてくる。
「マッチはつけるな、いい標的になる」
菊田がそういうと一行は行動の中へと入っていく。
月明かりも刺さない坑道の中は真っ暗でなにも見えず、宇佐美の顔にも焦りが見える。
その時、宇佐美が足元の何かにつまずき、パキっと折れるような音がする。
その直後に坑道の奥から銃声が上がり、宇佐美は足を負傷してしまう。
宇佐美がつまずいたのは「氷筍」という地面に逆さに生えるツララのようなものであった。
暗闇で周りは氷筍に囲まれ、身動きが取れない菊田達。
「形勢逆転だ」
暗闇で都丹が呟いたところで今回はここまで!
次回195話はどうなるのか?
坑道に菊田達をおびき寄せた都丹、氷筍で身動きがとれない菊田たち。
状況は都丹に有利ですが、人数では菊田達に分があります。
都丹と菊田たちの勝負の行方は!?
北海道への帰還を目指している杉元たちの動きも気になるところです。
次回も見逃せませんね!