前回のあらすじ
片目を眼帯で暗闇に慣らすという菊田の作戦に追い詰められる都丹。
さらに菊田の他にも二階堂、宇佐美、有古が都丹を追い込む。
追い詰められた都丹が逃げ込んだのは古い坑道だった。月明かりも差し込まない真っ暗な坑道で都丹は菊田たちを待ち伏せる。
一方で菊田達も真っ暗な坑道に歩みを進めて追撃の手を緩めない。
坑道で菊田達を追い詰めたのは暗いという環境だけではなく、「氷筍」という地面から逆さに生えたつららだった。
宇佐美が「氷筍」につまずき音を立てると坑道の奥から都丹が音を頼りに発砲する。
暗闇で周りは氷筍に囲まれ、身動きが取れない菊田達。
「形勢逆転だ」
暗闇で都丹が呟くところからゴールデンカムイ195話「有古の庭」始まります。
でも現在は見えてない
滴り落ちた水滴が凍り成長したものを「氷」の「タケノコ」と書いて「氷筍(ひょうじゅん)」といい、北海道でも限られた場所にしか見られない。
「氷筍」身動きがとれない菊田と音を頼りに発砲する都丹。
有古は「チノイェタッ(松明)」があればと考えるが、ここで明かりをつければ格好の的だと考えを改める。
考えに意識をとられたのか有古の小銃が「氷筍」に接触し音を立てて崩れる。
都丹は有古に向けて発砲し、有古はその場に倒れるように伏せて被弾を避ける。
菊田と宇佐美が都丹の発砲炎に向けて反撃するが、都丹はすばやく動き回り射撃位置を悟らせない。
「すばやく動いているのに氷が折れる音がしない・・・ どうして奴はこの闇の中、氷の間をぬって動けるんだ?」
菊田は都丹の動きの早さに疑問を抱く。
「地獄谷の火山ガスの中でも奴らは・・・」
菊田はここまで考えると上着を脱いだ。
一方で都丹は舌を鳴らしながら氷筍の合間を移動する。
しかし都丹の動きを止めたのは「音」ではなく「臭い」だった。
臭いの元は菊田が銃剣に脱いだ上着を巻きつけて作った「松明」だった。
「按摩さんじゃねぇかよ やはりハナから見えてなかったか」
松明によって都丹の姿を捉えると菊田は発砲し都丹は左肩に被弾する。
形勢不利と見た都丹は一目散に坑道の奥に逃走する。
菊田は都丹に手傷を与えたものの、弾切れによって都丹を取り逃がしてしまう。
「奴は音で周囲を正確に把握している」
「あの下駄の音に秘密があるようだが まあ・・・ どうでもいい」
菊田は都丹を追撃し坑道の外に出る。
遠くから聞こえる都丹の下駄の音に追撃を続けようとする菊田だが、宇佐美が足を負傷しているため有古に追撃を命じる。
「有古お前が追え 絶対に逃がすな」
一方の都丹は負傷した左肩を庇いながら山の奥へと逃げ込んでいく。
菊田に肩を借りて歩く宇佐美は菊田に質問する。
「有古ひとりで大丈夫なんですか?」
「有古はなあの八甲田山での捜索隊のひとりだぞ」
菊田の言う八甲田山の捜索隊とは「八甲田山雪中行軍遭難事件」のことであり、日露戦争の2年前、青森歩兵第5聯隊による冬期訓練で199名が死亡した遭難事故である。
菊田の答えに対して宇佐美は「北海道から招聘されたあのアイヌたちのひとりなんですか?」と聞いている。
「アイヌの捜索隊は凍りつく川に浸かり・・・ 深い雪山を平地のように素早く歩き、遺体を見つけて収容していった」
「地元のおっちゃんたちも舌を巻いたらしい」
「しかも登別はおいつの『庭』 この山で『有古 力松』から逃げ切るのは不可能だ」
その頃、都丹は山を逃げながらも時折聞こえてくる、音に違和感を覚える。
「なんか 嘘くせぇなぁ あの枝が折れる音」
都丹がそう呟いた時、都丹の後ろに小銃の弾が着弾する。
撃ったのは有古だった。
有古は続けてもう一発小銃を撃つと都丹も反撃に出る。
しかし都丹の耳には地鳴りが響いていた。
「何だこの音は・・・・ そうか」
「俺は誘導させられていたのか、これが起こりやすい場所を知っていたわけだ」
「負けたぜ」
そう呟く都丹を飲み込んだのは大規模な雪崩だった。
都丹が敗れたところで今回はここまで!
次回196話はどうなるのか?
195話では都丹が敗れてしまいました・・・・。
これで菊田は都丹を手土産に鶴見に接近することでしょう。
鶴見は金塊にさらに一歩リードすることになりそうです。
このまま行けば鶴見が金塊を手にしそうですが、もうすぐアシリパと杉元が北海道に帰ってきます。
あの二人が戻った時、北海道は慌しくなりそうです。
その時、金塊に一番近いのは鶴見のままなのでしょうか?
次回も見逃せません!