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紅葉の棋節【ネタバレ】第12話
春宮の過去の回想からスタート──
鼻が人より大きく、小柄でよくいじめられていた私。学校をサボっては家の押入れで将棋を一人指していた。
いじめられたのが悔しくて、涙が止まらなくて・・・全てを忘れるように将棋を指した。
そんな弱い私でも、町の大人をみんな負かすことができた。将棋なら私は強くなれたんだ。
プロになって三十年目に私は彼に会った。
春宮 「私に弟子入りしたいと・・・では、君はなぜ将棋を指す?どこが好きだ?」
春宮の目の前に座っているのは、桜(紅葉の兄)。
桜 「将棋は好きじゃねぇです。僕ぁこの通り体が弱くて・・・立ち上がる時も呼吸を整えてから・・・
体育はいつも見学です。みんなとドッジもかけっこもできません。
そんな僕でも、将棋なら対等なんです。僕には・・・将棋しかねぇんです。」
その言葉が私の耳に未だに焼きついている。
現代に戻り、紅葉の呼びかけで、回想から戻る、春宮。物思いにふけっていた状態だったので、かなりの驚きようです。
紅葉は春宮に、一局指導してもらいたいと頼みに来ていたようです。この一週間で他の連中はノルマ以上をこなしててぐったりしていて、
銀杏は入浴中。それでも指したりない紅葉。
紅葉 「ダメですかね?お体に障るでしょうか・・・」
春宮 「おいおい、誰の心配をしとるのかね?私はプロ棋士だぞ。」
対局を始める、春宮と紅葉。
──壁──
三十五年プロの世界に身を置いている春宮。自分の兄、桜や銀杏のような激しい将棋や、雪柳のように綿密に勝利を練られた将棋とはまた別の、
長い年月をかけ作られた、当たれど無駄だと言わんばかりの重厚な壁。そのように春宮の将棋を感じている紅葉。
指導対局であるのに、自分自身を試すように春宮の思考の壁が頭の中に迫り寄って、自分の思考の停止を感じている。受けても受けても次の思考・・・・
春宮 「まずは、息をなさい。」
春宮の言葉に我に返り、息をしだす紅葉。
息をするのも忘れるほどの集中。強いとかそんな次元じゃなく、これが棋界頂点で戦う棋士の力かと、対局で実感する紅葉。
春宮 「まったく指導だと言うのに、兄弟揃って息を止める程本気になるとは・・・君達は人をハラハラさせるのが得意だな。」
紅葉 「いやそんな。」
春宮 「皮肉だゾ。受けの冴えは目を見張るものがある。自分の急所の嗅覚が鋭いんだろう。磨けば形になる。プロにも、いずれは手が届くかもしれない。
だが、竜王になるとは思えん。」
喜びから一転、ぐっと唇をかみしめる紅葉。
春宮 「ひ孫弟子よ・・・何故君はその頂を志す?桜の為か?将棋・・・好きなんだろう?なぜだ?」
紅葉 「将棋は好きじゃありません。それに、兄貴の為とか、そんな高尚な理由で指してません。ただ、ムカつくから。」
春宮 「ムカつく?」
紅葉 「最強のまんまいなくなって、伝説とか言われて。おかげで俺ァ、そんな奴の面影と比べられて。これで辞めたら負け犬呼ばわりされて・・・ムカつきません?
だから兄貴でもなれなかった竜王になれば、その時は昔みたいに楽しく指せるかもって。」
涙を流しながら訴える紅葉。
あれから2年が経つ。時間とは残酷なで、見失ってた、この世のどこにもいない兄を、銀杏が見つけてくれた盤の向かい側にいる兄を、指し続けないと、
その存在がかすんでしまいそうでと感じている紅葉。だから、
紅葉 「俺には将棋しかないんです。」
紅葉の言動、涙に自分と同じで彼(桜)が焼きついてしまっているんだと思う春宮。積もりに積もったそのどうしようもない気持ちを、盤上で燃やすしかないんだなとも。
そして、銀杏がこれに賭けることにしたんだなと、読み取った春宮。
紅葉 「そうか、急所が分かるなら、ずっと相手の攻めだけを殺してきた。それだけが受けるってことか!?いや違う。そうじゃない。
自分の急所への攻めを完全に潰すんじゃなくて、それを利用するのなら・・・」
手を進める紅葉。指した一手を見た春宮。
春宮 「なるほど、いい手だ。これはそうか、攻められない。だが甘いゾ。一手遅かったな。」
と、すぐさま打ち返す春宮。その一手を見て「あああああああ」とうなり、青ざめる紅葉。だが、一手早かったらと思う春宮。
紅葉 「負けました。」
春宮 「紅葉くん。やはり私は君では竜王になれないと思う。しかし、いい棋士になることを期待している。」
紅葉 「はいっ。」
そして、その情熱でわが孫弟子のことも救ってやってくれと、心で願う春宮──。
そして一週間後・・・・・
ついに四人の打ち続けた棋譜は、天井にまで到達する高さに。棋譜の山の下に座ったまま寝てしまっている四人の姿。
毎日ノルマ以上こなしていた様子。
春宮 「自分の武器は見つかったかい?」
紅葉 「何とか!」 満面の笑みで答える紅葉。
銀杏 「てか今日例会日でしょ?みんな。」
四人 「あっ」
紅葉の棋節【ネタバレ】第13話考察
やはり、兄弟と言うべきなのでしょうか?桜、紅葉ともに「将棋は嫌い」と言ってます。それぞれにそれぞれの理由がありますが。
そして、将棋しか無いと言う部分もそっくりです。
それにしても・・・桜と言う人物。みんなの心にかなり強く残っているようですね。どれだけ将棋が強く、そしてどれだけの人物だったのでしょうか・・・。
そこまで強く印象に残る人物って・・・。
そして、なにやらこの二週間で自分の武器をなんとか見つけ出した紅葉。当然他の三人も見つけ出したんだろうなあ?
定例会でそれぞれ、何勝することができるか!みものです。
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