岩柱・悲鳴嶼行冥は〝お館様〟との出会いを回想する。
その回想はそのまま数日前へと移る。
産屋敷耀哉は〝鬼舞辻無惨の襲来〟を予知して、
岩柱に「自分を囮に」無惨を倒すようにと指示するのであった。
そして今———————
岩柱は無惨の頭部を粉砕したが、瞬時に再生していた。
その凄まじいまでの無惨の力に、
このまま夜が明けるまで持久戦に持ち込むしかないと覚悟する。
岩柱と鬼舞辻の激しい攻防が続く。
と、そこに柱達と竈門炭次郎が続々と集結する。
柱達は今対峙している相手が〝鬼舞辻無惨〟だと知り―—————
激しく感情を暴発させるのであった!
柱達と炭次郎の必殺の〝剣〟が一斉に炸裂しようとした瞬間、
突然柱達の足元の空間が歪み、下へと引きずり込まれる!
鬼舞辻はあざ笑いながら自ら下へと身を躍らす!
絶対逃がさない、必ず倒すと息巻く炭次郎。
果てしなく落下する炭次郎にの耳に―————
「できるモノならやってみろ!」と、
無惨の絶叫が木霊し続けるのだった―———————
鬼滅の刃【ネタバレ】139話「落ちる」
1.「子供達を願って」
産屋敷耀哉、享年二十三。
病の進行により足腰が立たなくなり、床から動けなくなるまで・・・・・
亡くなった鬼殺隊員の墓参りを
一日たりとも欠かしたことは無かった―——————。
岩柱・悲鳴嶼行冥は回想する―——————
初めて会った時、〝お館様〟は十四、私は十八だった。
「君は人を守る為に戦ったのだ、君は人殺しじゃない。」
産屋敷耀哉は「癒し」の微笑みを浮かべる。
あの方はいつも―—————
人が欲しくてやまない言葉をかけて下さる。
そしてその荘厳さは出会ってから死ぬまで、
ついぞ変わることは無かったのだった。
そして回想は数日前へと流れゆく―———————
「五日・・・以内に、無惨が・・・くる・・・」
苦し気に床に臥す耀哉が呟く。
「私を・・・囮にして・・・無惨の頸を・・・取ってくれ・・・」
「何故そのように思われるのですか?」
悲鳴嶼は素直に尋ねる。
「ふふ・・・ただの勘だよ・・・理屈はない・・・」
耀哉は口元に笑みを浮かべる。
〝先見の明〟
産屋敷一族には——————
未来を見通す力が備わっていた。
この力により彼等は財を成し、
幾度もの危機を回避してきたのだ。
「他の・・・子供達は・・・私を囮に・・・・使うことを・・・承知しないだろう・・・」
包帯で巻かれた耀哉の両目は未来を見据えていた。
「君にしか・・・頼めない・・・行冥・・・」
「御意。」
彼の頬を涙が伝う————。
「〝お館様〟のお頼みとあらば。」
「ありがとう・・・」
そして耀哉はこう続けるのであった。
「どうか・・・もうこれ以上・・・私の大切な・・・・
子供達が・・・・死なないことを・・・願って・・・」
ここでは岩柱と〝お館様〟の出会いが描かれる。
それにしても14歳の耀哉は女性と見まがう如くの超美少年!!
そしてその生まれ持った「優しいオーラ」は全てを優しく包み込んでいく。
こんなすごい人と出会えば、もう心酔するしかないだろうな・・・・
と、つくづく実感させられてしまう。
そして〝産屋敷一族〟の能力も明かされる。
いわゆる「千里眼」、「未来予知者」であったのだ!
確かにこれなら働かなくても資金を得る事ができると納得である。
あと、強く胸を打つのが———————
耀哉の、隊員たちへの「想い」である。
自分よりも彼等の事を一番に考えて行動する。
これは炭次郎の行動そのものではないか!
やはり上に立つ人物には、この資質は欠かせないことが分かるのである。
そして、〝お館様〟の静かな佇まいの胸の内には—————————
隊員の子供達の幸せを強く願う「熱い想い」が隠されているのである!
知れば知るほど魅力が溢れ出す産屋敷耀哉。
そんな彼の見事すぎる散り際である。
2.「夜明けまで」
岩柱の投げた鉄球は鬼舞辻無惨の頭部に命中!!
見事に跡形もなく粉砕するのであった!
が!?
「・・・・・」
やはり!!
〝お館様〟の読み通り・・・
〝鬼舞辻無惨は頸を斬ってっも死なない!!!〟
鬼舞辻の頭は瞬時に「再生」していたのだ!?
彼は〝お館様〟の言葉を思い出す―——————
無惨を滅ぼせるのは「日の光のみ」ではないかと思っている・・・・
君が頸を破壊しても彼が死ななければ、
〝日が昇るまで〟の持久戦となるだろう・・・・・。
悲鳴嶼はさらに思う―—————
この肉体の再生速度は・・・・
今までの「鬼」の比ではない!
〝お館様〟による爆破と協力者による弱体化があっても、
これ程の余力を残した状態だ。
〝夜明けまで〟————————
この化け物を「日の射す場所」に拘束し続けなければならない!!
「!!」
いきなり無惨が悲鳴嶼に向かって手のひらをかざす!!
そこから飛び出した無数の〝漆黒の茨の棘〟が、岩柱を襲うのであった!!
〝鬼舞辻無惨は頸を斬っても死なない!?〟
これぞ「鬼」のボスの底力と言うしかない!
「太陽の力」でなければ、「闇の力」を滅ぼす事はできないのだ!
「太陽がのぼるまで」・・・・踏ん張れ! 岩柱!!
3.「柱終結!!」
黒血 〝枳棘〟(ききょく)
鬼舞辻の〝血気術〟が悲鳴嶼を襲う!!
岩の呼吸 参ノ型 〝岩軀の膚〟(がんくのはだえ)
岩柱は〝技〟をぶつけて攻撃を全て破壊する。
と!
「テメェかァアア!!」
「〝お館様〟にィィ何しやがったァア―————————————!!!」
風柱・不死川実弥が駆けつける!!
柱達が終結する。
〝お館様〟の采配、お見事・・・・
岩柱は戦いながらそのタイミングに恐れ入る。
「お館様ァ!!」 恋柱が、
「お館様。」 蛇柱が駆けつける!
「鬼舞辻無惨だ!」
悲鳴嶼が柱達に叫ぶ!
「奴は頸を斬っても死なない!!」」
(柱達に激震が走る!)
!! !! コイツがァ!!!
あれが・・・!!
あの男が!!
奴が・・・・!!
鬼舞辻!?
「無惨!!」 炭次郎が絶叫する!!!!
終結した柱達と炭次郎の〝呼吸の舞〟が炸裂する!!
と!! 柱たちの足元の地面が!
突然パックリと開くのであった——————————!!
柱達と炭次郎、全員が終結する!!
これ程までに壮観で頼もしい「構図」は今までには無かったであろう!
そして全員の〝必殺の舞〟が合わせて炸裂する!
何てカッコ良すぎるんだ!!
これは「アベンジャーズ」か? 「仮面ライダー勢ぞろい」か?
とてつもないパワーが誌面を通してビリビリと伝わってくる!!
そう!! これぞ今までの中で最高の「見せ場」なのである!!
が、突然地面が!!
早く続きを見てみよう!?
4.「落ちる!?」
炭次郎は下へと落ちる感覚に襲われていた!
足元が突然歪み―————
鬼舞辻無惨ののアジトである「無限城」の如き〝空間〟が現れたのだ!!
その場の全員が一瞬「空中」で静止する!
「これで私を追い詰めたつもりか?」
無惨は邪悪にあざ笑う!
「貴様らがこれから行くのは地獄だ!!」
「目障りな鬼狩り共、今宵皆殺しにしてやろう!!」
「地獄に行くのはお前だ無惨!!」
炭次郎も負けずに叫ぶ!!
「絶対に逃がさない! 必ず倒す!!」
「できるものならやってみろ―———————」
無惨は下に降りながら答える。
「竈門炭次郎!!」 無惨はさらに大きく炭次郎に吼える。
下へと落下し続ける炭次郎の耳に—————
その無惨の叫びが、
いつまでも纏わりついて来るのであった————————————。
何だ!? 突然の「異空間」の出現!?
この訳が分からず破綻した「展開」はさすがの柱達も想定外だったろう。
それにしても無惨は戦い慣れている「超強者」だと言えよう。
危機かと思いきや、一気に自分のフィールドに柱達を落とし込むのだから!!
やはり伊達に千年以上生きている訳ではない。
ホントに無惨に勝てるのか?
と、一抹の不安を感じた読者も少なくないはずである。
第139話の感想
今回の「鬼滅の刃」は対比が面白い。
前半の静か過ぎる回想シーンと
後半の息をもつかせぬ激しい戦闘シーンの対比が効果的に描かれる。
そして、前半の回想では耀哉と悲鳴嶼の2人だけの対話なのに対し、
後半は柱達、珠世、炭次郎と鬼舞辻無惨などの大人数が登場し、
小人数と大勢の対比も描かれている。
それは〝お館様〟の「優しい静かさ」と、
柱達や炭次郎の激しい心の動きの対比にもあらわれている。
「静」と「動」
「2人」と「多人数」
そして「優しさ」と「激しさ」。
これらの「対比」が独特のうねりと癖があるリズムを生み、
物語を最後までノンストップで突っ走らせるのだ! お見事である。
さて、「来週」である。
とうとう「最終決戦」の様相を呈してきた無惨と鬼殺隊との戦い。
でもチョット待った!!
他の「上弦の鬼」はどうしているのか?
が、その答えはすぐに分かりそうな気配である。
何故なら———————
無惨が引きずり込んだ「空間」の中で、
「鬼」達が手ぐすね引いて待っている可能性があるからだ!
イヤ、待ってるに違いない!
それとも作者は上弦の鬼達に「別の機会」を用意しているのか?
どちらにせよ「来週」になればハッキリと分かること!!
我々読者はいろんな想像の翼を広げて、心して待っていようではないか!!
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