これまでのあらすじ
大包平との激戦に勝利した鬼丸は休む間もなく結びの一番である横綱の刃皇と平幕ではありますが、優勝決定戦に名を連ねている三日月との試合を観戦しに来ました。その勝負は三日月が優勢かと思いましたが、うっちゃりで刃皇がその強さと格の違いを見せつけ勝利を収めました。その光景を見て改めて刃皇と取り組みをしたいと思うのでした。そして取り組みが発表され2敗同士で負けることができない鬼丸と三日月の取り組みが決まりました。三日月はこれまで公式戦の場において鬼丸に勝利したことがありませんでした。そのトラウマなどを払拭してさらなる高みへ進む一戦となるのでした。
第237番 鬼丸国綱と三日月宗近 死合
これまで二人は同い年で同じ千葉県出身であり、相撲の激戦区で成長をしていました。高校時代も2度戦っていて、いずれも鬼丸が勝利をしていました。天才と当時は言われていた三日月ですが、鬼丸に公式戦で勝利したことはありませんでした。かつての石神高校のメンバーたちも応援に駆けつけてきたのでした。三日月はムラッ気のある選手でしたが鬼丸がいる今場所は集中していて8日目の大関の草薙を足が前に出る相撲で寄り切りました。さらに9日目の大典太の突きの嵐を掻い潜って捌き切り勝利を収めていて前捌きの上手さは幕内でもトップクラスでした。今場所は誰にも廻しを与えておらず、敗れたときでさえも与えていませんでした。高校時代の鬼丸との取り組みも、鬼丸の辛勝でありどっちが勝ってもおかしくありませんでした。三日月にとって鬼丸は特別な存在でありその気負いが良い方に働くかが勝負の分かれ目と感じていました。叫んで気合いを入れ直して取り組みに臨みます。大太刀のマネージャーの二人も当時土俵には真剣勝負があることを知り相撲の情熱を知りました。今場所はどれほどの熱を生んでいるのかを他の人は気づいているのでしょうか!?
いよいよ取り組みが始まりました。突き合いになりましたが鬼丸が気づいた瞬間には廻しを掴んでおり正面に立たないことを決めていました。それが鬼丸封じでした。円の動きや慣性を操って加速を続ける敏捷性と平衡感覚を持ち合わせていて、大和国親方はそれを天賦の才と称していました。重力から解き放たれたような無感の足運びは月歩のようでした。廻しを掴もうとする鬼丸の手も簡単に弾いてしまいます。刃皇でさえ今日の三日月となら勝敗は分からなかったと直感していました。しかし鬼丸も右足をかけて強引に廻しを掴むことに成功します。数多の修羅場をくぐり抜けてきているため簡単には動じない心を身につけていました。今三日月の目の前にいるには最高の情他の鬼丸でいた。それは”覇爛万丈の相”という前人未踏の領域へと突入をした証拠でもありました。
第237番 感想!
平幕で2敗同士でありますが、長くのライバルであった二人の取り組みがいよいよ始まりました。鬼丸を超えることを目標に置いてきた三日月は最高の状態であり、徹底した鬼丸封じを展開することに成功していました。しかし鬼丸も修羅場をくぐり抜け、強敵と戦う内に前人未踏の領域へと足を踏み入れることに成功をしていました。刃皇のコメントからその日の心の状態が取り組みに大きく影響することが感じ取れました。今場所もいよいよ終盤へと突入してきており、この二人の今後の相手は強敵揃いであることは間違いありません。鬼丸が三日月から再び勝利を収めるのか、三日月が勝利をして目標の鬼丸を超えるときが来るのかどちらにしても大きくこの後の展開が変わってきます!