【 キングダム 594話 あらすじ 】
「ふおっ ふおおおおおおっ よくもォッ 林をォ わが弟をォォ」
朱海平原に徐肖の絶叫が響き渡る・・
【 飛信隊・前線部隊 vs 趙峩龍軍・土雀 】
弟の徐林が見るも無残な姿で地べたに転がっている・・
兄の徐肖にとっては軍の作戦なんかもぉどーでもよかった。
私情と言われようとも、徐林の仇を討つ!それが全て。
「集え全”土雀”共!飛信隊 信をっ 飛信隊そのものを細切れにしろォ‼」
信たち前線部隊を土雀と他の精鋭部隊が一斉に囲み、分厚い包囲の輪が出来上がっていく。
ドオオオオオッ
趙峩龍軍最強部隊というだけあり、土雀兵は他の趙峩龍軍の兵よりも数段上の強さを誇っていました。
飛信隊・前線部隊の兵たちが次々と討ち取られていきます。
信も徐林から受けた傷が意外に深く、思うような動きが出来ません。
我呂が信に一度包囲の外に出ないとヤバいと伝えます。
しかし土雀兵たちが執拗なまでに信に狙いを定め次々と襲いかかるため、信は身動きが取れずにいました。
【 軍師 】
信たちを包囲している土雀を少し離れた場所から趙峩龍が見ていました。
徐肖の私情にかられた行動を咎めるでも止めるでもなく、この戦況の流れを静かに見ています。
趙峩龍、結果オーライ。
一方、飛信隊の・・いや、右翼軍の軍師・河了貂は敵の後軍が一部陣を崩して趙峩龍本陣付近に密集していることに気付きます。
河了貂はそれが信たち前線部隊が包囲されているのだと容易に想像がつきました。
「・・・信」
【 戦場に舞う乙女参上 】
各所で劣勢を強いられている飛信隊・前線部隊。
料理上手な去亥が落馬!そこに土雀兵二人が槍を振り下ろす!
絶体絶命の料理上手去亥!
ヒヒ・・・ン
一瞬にして土雀兵二人の首と腕が切り落とされる!
二人を切り伏せ、去亥のピンチを救ったのは羌瘣でした。
羌瘣は去亥の料理の腕を認めています。
羌瘣がこの大包囲網の中心に突如現れたことに驚く信たち。
包囲の中に入って来たのは羌瘣隊と那貴一家。
この異常な包囲から信たちを救うには信と羌瘣二人の無双が揃えば可能との判断からでした。
しかし・・信が深手を負っていたことは計算外。
羌瘣は頭を切り替えます。
「斬って斬って斬りまくって趙峩龍軍の主力をここに消す!」
そんな無双案に驚く信たち。
羌瘣の武をもって”楔”を打ち続け、そこを皆で狙い、敵を潰すという羌瘣頼り案。
それは持久力に難ある羌瘣の武と包囲網どちらか先に力尽きたほうが負けということ。
仲間と己を信じて羌瘣は直ぐに行動を開始。
信がその案を強く止めなかったのは、羌瘣が即行動に出たこともありますが、この包囲網を打破するにはそれしかないと心のどこかで思っていたからでした。
たとえそれが羌瘣に大きな負担が掛かろうとも、現状それしかないと・・・
【 羌瘣無双 】
「何だこいつはっ 殺せっ 殺せェっ」
ヒンッ
トーン タンタン
ヒ ン
舞う羌瘣、飛び散る土雀兵の首々。
地面に足も着かず、飛び跳ねながら次々と土雀兵を討ち取る羌瘣。
予測不可能な動きに為す術なく討ち取られていく土雀兵たち。
信や我呂たちは羌瘣が打った楔によって乱れた所を狙い、包囲打破への歩を進めて行きます。
羌瘣の呼吸術のことをよく知っている信はもう戻れと声を上げますが、羌瘣はたった一人で包囲の中へ飛び込んで行きます。
我呂が信に羌瘣の命懸けの立ち回りに応えてやらなければと声をかけます。
歯がゆい思いの信。
「んなこたぁ分かってるってんだ バカヤロォ!」
【 趙峩龍 】
趙峩龍は信たち飛信隊を取り囲んでいた包囲輪が先ほどとは打って変わって広がりはじめていることに驚きます。
歯ぎしりな思いの趙峩龍。
しかし羌瘣の呼吸術は限界に近づいていました。
冷静さを取り戻している徐肖が羌瘣に狙いを定めます。
「殺るぞ」
キングダム 第594話 END
【 キングダム 595話 考察 】
徐肖の嗚咽から始まる594話は意外と面白い回でした。
クスクスって笑える意味で。
【 徐肖さん 】
冒頭の嗚咽シーンでの顔と末ページラストのコマの顔の対比たるや凄まじいものがあります。
ね、数分でこの変わりよう、同じ人とは思えませんもの。
原先生も笑わそうとしてワザとこう描いたに違いありません。
まんまと笑ってしまいましたよ。
羌瘣の舞に全くついていけない土雀兵のみなさん。
そんな土雀兵たちも情報から羌瘣が呼吸を整える隙をつけばいいことは分かっているようですので、徐肖さんも当然そこを狙う気でしょう。
ですが徐林と二人掛かりでも信を倒せなかった程度の武です。
何をか言わんやでしょ、羌瘣を討てるレベルの武はありません。
羌瘣も自分の弱点をいつまでも克服せずに中華統一までの長い道のりを乗り切れるとは考えていないでしょう。
もし考えていないなら羌瘣の武の成長って何?って感じです。
ヒ ン と
一撃で徐肖さんはステージを降りることになりそうですが、徐肖を討った後、羌瘣は動けなくなるのかもしれませんね。
そこを今度は信が救う展開があるのかもしれません。
いずれにせよ、チョットとした二人の見せ場のために必要な存在が徐肖さんなのでしょう。
【 羌瘣と那貴一家 】
都合よく包囲の中に入ってこれたのは那貴一家のおかげということでしょうか。
中に入れるなら、包囲をすり抜けて趙峩龍を討つことも出来たんじゃないのかって疑問も残りますが、救出優先だったのでしょう。
おかげで趙峩龍は助かったということでしょうか。
朱海平原における羌瘣のクライマックスが救出劇ってのは物足りない気がしますが、信や王賁たちよりも、或いは尭雲や馬南慈よりも数段上の武を持つ羌瘣ですので、一騎討ちでは劇的な場面が作れないとの判断から乱戦を羌瘣のクライマックスに持ってきたのかもしれませんね。
いわば信や王賁のレベルアップ待ちといったところでしょうか。
【 河了貂 】
なんだか趙峩龍も河了貂も想い通りに事が進みませんね。
河了貂に至っては攻めに関してはもぉ打つ手がありません。
いつものように「信・・」って祈るだけです。
このままでは見せ場ゼロで鄴攻めが終わってしまいますので、趙峩龍が送り込んでいる別動隊を河了貂の策で撃退するしかありません。
誰か隠し玉がいるのか、名もなき兵たちだけで撃退するのか楽しみにしたいですね。
【 信 】
どうにもピリっとしません。
徐林と徐肖ぐらい信ひとりで殺れないでどうする!って読者は歯がゆい思いをしたでしょう。
ピンチに陥る過程も敵の強さ説明も雑なため説得力がないんですよね。
敵の強さの裏付けが薄弱ということです。
こんな調子で謎の敵将が次から次へと出てくる展開が続くとさすがに緊張感の無い空っぽ作品になってしまうのではないかと心配です。
敵の強さを丁寧に描く苦労は信の魅力増となって還って来ます。
原先生が展開のスピードを上げる箇所は他にあるはず。
敵に魅力を感じるキャラが多ければ多いほど作品は豊かになりますから、原先生には敵対する将たちにもっと情熱を割いてもらいたいですね。