【 キングダム 595話 ネタバレと考察 】
羌瘣は呼吸を整える間隔が短くなっていました。
それは敵に対して隙を見せる時間が多くなってきているということ。
そこを狙い、復讐を果たすべく羌瘣に迫る徐肖・・
「殺るぞ」
【 羌瘣 vs 徐肖 】
巫舞を舞う羌瘣の背後に回り、背中を狙い槍を突く徐肖。
「殺った!」
それはコンマ数秒の世界・・
徐肖の槍をかわし、羌瘣は徐肖の槍の上に剣を滑らします。
羌瘣の剣は槍を持つ徐肖の手をスライス。
そのまま徐肖の頭も・・・
ス ヒン
「じょ、徐肖様ァ!」
土雀兵の叫びが虚しく戦場に響きわたります。
体力の限界が近い羌瘣は地面に落ちます。
少し離れた所からそれを見ていた信たちが羌瘣を心配し、もう十分だと声をかけますが羌瘣はまた土雀兵の殺戮を始めます。
無理を押して舞う羌瘣・・その働きを無駄にすること絶対に出来ない。
信が仲間を鼓舞します。
「斬って斬って斬りまくれっ ルオオ!」
【 趙軍・趙峩龍 】
土雀達の分厚い包囲を突破せんとする飛信隊の強さに焦りを隠せない趙峩龍の側近たち。
側近達は趙峩龍に飛信隊が包囲を抜けて来る前に、ここを退避することを進言します。
「趙峩龍様が健在であれば立て直しが出来ます。ですからここは何とぞ退避を・・」
趙峩龍は自信満々で繰り出した包囲策が打ち破られていく光景を見て考えていました・・
「違ったのか・・」
亡き主・藺相如から、この時代の秦の暴挙を止めるべく放たれた矢が尭雲と自分だと趙峩龍は思っていました・・
しかし、繰り出す策、繰り出す策、ことごとく破られていく様を目の当たりににし、趙峩龍は己の解釈に疑問を感じます。
自分達が力不足なのか・・
いや、ひょっとしたら・・
偉大なる主・藺相如は何か違う意図で我らをここに送ったのやもしれぬ・・
趙峩龍はその意図がまだわからないまでも何かあると判断、ひとまず退却を決定します。
「行くぞ」
【 飛信隊・前線 】
趙峩龍の退却により士気も下がり兵数も減った趙峩龍の包囲網は信たち前線部隊によって瓦解していきます。
土雀兵、趙軍精鋭兵の骸が転がる中、信が声をふりしぼります。
「俺達の・・勝ちだ・・・」
羌瘣を中心にした無謀な策によって分厚い包囲を瓦解させた飛信隊・前線部隊。
信が羌瘣の安否を気にします。
「羌瘣は・・羌瘣はどこだっ!」
ボロボロの田有が気を失った羌瘣を抱きかかえ応えます。
「心配すんな・・何とか無事だ」
田有の背中には羌瘣をかばって負った剣が二本突き刺さったままです。
仲間がその傷を心配しますが、田有は抱きかかえた羌瘣を見ながらどうってことねェと答えます。
羌瘣の無事を確認した信に我路がまずいことになったと声をかけます。
「趙峩龍の姿がみえねェ 逃げられたぞ」
敵を討つことで精一杯だった信達は趙峩龍が退却したことに気付いていませんでした。
田永が趙峩龍に逃げられたらここまでの奮戦が無駄になると嘆きますが、楚水はそうではないと言います。
趙峩龍軍の主力を潰したことは、飛信隊と趙峩龍軍との戦いの勝敗を決する程の戦果であると・・
ただし、趙峩龍が生きている以上、このまま引き下がるとも思えないとも。
那貴は向こう側に広がる森の中に趙峩龍軍が逃げ込んだとみていました。
信が森の中を探しに行こうとしますが、那貴が止めます。
止めた理由は元々逃げと隠れが専門の那貴一家が適任であること、それに信の傷の具合からして手当をしなければ趙峩龍は討てないとの判断からでした。
信は趙峩龍の居場所探索を那貴に任せることにします。
【 後方からの急報 】
信が手当を受けようとしているところへ崇原歩兵団から伝令がやって来ます。
「いっ今すぐ少しだけ、少しだけすぐ後ろの歩兵団のところに隊長だけ来ていただけませんか!」
何かあったのかと信はたずねます。
「は、はいっ ご本人は呼ぶなと言われたんですが・・崇原歩兵長が隊長に伝えるだけ伝えてこいとっ」
話の顛末を聞き終えるまでもなく、それが凶報を意味しているのが信も田永も楚水も即座に理解。
「誰だ?」
【 飛信隊・後方 】
松左が崇原の腕の中で息絶えようとしていました。
その横で干斗が頭を地面に叩きつけながら何度も何度も何度も松左に謝ります。
消え入るような声で松左が干斗に語りかけます。
「うざいなお前は本当に・・干斗、俺の槍・・お前にやる」
泣きじゃくる干斗は自分なんかが貰えないと声を張ります。
崇原は干斗に言います。
「干斗、そこは違うだろ」
松左の槍を両手で握りしめ、絶対に使いこなすようになりますと松左に誓う干斗。
崇原の手をしっかりと握り、松左が語りかけます。
「楽しかったな・・色んな隊を渡り歩いた俺達はよく分るよな・・飛信隊は本当に最高だ・・ちょっとばかし先にいくが・・隊を・・・信を・・頼んだぞ・・」
「本当に・・楽しかった・・・」
それまでこらえていた涙があふれだし、抑えていた感情が爆発する崇原。
「くそっ 信は来れないのかっ!」
その時!
ドガガッ
馬を全開で走らせ駆け付けた信。
その蹄の音を聞いたからなのか、信の気配を感じ取ったからなのか
動けるはずのない松左は崇原の腕から立ち上がり、信の方向を向きます。
馬を飛び下り松左の下に駆ける信。
『信・・・』
ついに息も絶え、倒れる松左・・
『松左っ』
地面に倒れる寸前でその腕の中に松左を受け止めることが出来た信。
二人は声に出して言葉を交わさずとも、心で言葉を交わしていました。
[ ありがとな ]
それはお互いの偽ざる思い・・・
飛信隊副歩兵長・松左
朱海平原にて戦死。
キングダム 第595話 END
【 キングダム 596話 考察 】
泣けました・・
松左と信の無言のやりとりが胸を熱くします。
長く接してきたキャラが死ぬことは読者である我々も信同様に辛いものがあります。
飛信隊にとっても読者にとっても大きな大きな損失ですね。
干斗が松左ロスを埋めてくれるのはいつでしょう・・
信ですらまだ王騎ロスを埋め切れていないというのに。
【 徐兄弟ら小物たち 】
あまりにもあまりなんで、せめて書いておきます。
読み返してみると登場は結構前です。
温存していた訳ではないでしょうが、ロゾ兄弟と比べると登場場面も少なく、やられキャラとして何の魅力も感じませんでした。
羌瘣の武が桁違いなんだと思わせるキャラにしてもですよ。
もう少し丁寧に描いて羌瘣を苦しめる存在であって欲しかった感は否めません。
まぐれでも信に傷を負わせたんですから・・・。
この岳嬰パターンともいえる小物のやられ方はこの後も続くのでしょうか。
もう小物は楚水や崇原達に討たせたらどうでしょうか。
信や羌瘣は弱いものいじめ感が出てしまうキャラとの対戦はいい加減卒業させた方がいいように思えます。
【 趙峩龍ぅ~ 】
あれ、違ったかも・・
今更ご自身でお考えになられた亡き主の言葉の解釈を、違ったかも?と趙峩龍。
どこまでもどこまでも藺相如から卒業できない趙峩龍にウンザリです。
藺相如のとんちを解かずして何が右腕だって考えたんでしょうけれど・・
もっと前に考えられたんじゃないですかねェ・・
これだけグズった理由がこの先きっとあると思わなければ、もう趙峩龍の顔を見ていられませんよ。
もう過度な期待はしませんが、森の中でひと山あることを願って待ちましょう。
【 河了貂 】
松左の死で苦しむことになるのは河了貂でしょう。
松左の性格を理解した上で救援隊を任せた訳ですからね・・
河了貂は自らを責めるにちがいありません。
結果、河了貂はひとつ上のステージに上がることになるのでしょう。
松左の死は無駄ではなく、干斗と河了貂をレベルアップさせるのです。
このパターンがあまり繰り返されないことを願います。
【 勝敗の行方 】
飛信隊は趙峩龍軍を瓦解させましたが、亜光軍と玉鳳がどうなっているのかが分かりません。
それに趙峩龍を討つよりも早く、右翼本陣が落とされかねません。
なぜなら趙峩龍の言っていた別動隊の存在があるからです。
今日で決着が着くことは以前に本編で作者が謳っています。
大きなうねり、いよいよ両軍の中央軍に動きがありそうですね。